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【ハル〜総合商社の女〜】 ドラマから学ぶ、車椅子生活の方の働き方について

【ハル〜総合商社の女〜】 ドラマから学ぶ、車椅子生活の方の働き方について

ドラマ「ハル〜総合商社の女〜」7話にて、海原晴(中谷美紀)が勉強会に参加する中で、車椅子でその場に参加する女性(南沢奈央)がいます。
その女性は障害者枠で入社し、経理部で勤務。海原晴とも情報交換を行い、ドラマの主題となる社会課題解決型ビジネスを思い付くキッカケになります。こういった車椅子生活の方が活躍する場面が描かれていましたが、実際の働き方はどうなのか?
企業側と就業者側の2つの側面で考察していきます。

【企業側:障害者雇用促進法とは?】

ドラマでは、従業員45.5人以上の企業は障害者を1人以上雇わなければならない。と発言する場面があります。
これは厚生労働省のホームページにも明記されており、“障害者の雇用義務等に基づく雇用の促進のための措置、職業リハビリテーション等の措置等を通じて、障害者の職業の安定を図ること”を目的としています。
ただ実際の現場では、障害者雇用の水増しなどが問題点となっているようです。
その背景には、国が定める“障害者”の定義に問題があるように思います。

【国が定める障害者とは?】

障害者雇用率制度の上では、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の所有者を実雇用率の算定対象としています(厚生労働省ホームページより)
上記の1つである身体障害者手帳を交付してもらえる対象者は以下となります。
  • 視覚障害
  • 聴覚・平衡機能障害
  • 音声・言語・咀嚼機能障害
  • 肢体不自由
  • 内部障害
このように医学的な治療が必要な方が対象となっています。週3回定期的な通院があるなどの制限がある場合、雇用側したくても、積極的に雇用ができない原因の1つになっていると考えます。
企業側の補助として、「障害者雇用調整金・報奨金」といった制度があり、法定雇用率を上回った場合、1人当たり月額27,000円の補助金が支給されます。逆に下回った場合は、1人当たり月額50,000円の納付が必要となります。
こういった金銭面の補助はありますが、どういった仕事を任せる事が出来るのか?どういった環境作りが必要なのか?は各企業に任されているため、本来であれば各企業に障害者支援の専門家を配置する事が理想的に思います。

【就業者側:ドラマの事例を元に仕事をする上での障害】

ドラマの設定として、電動車椅子で移動+両下肢に義足を着けています。それに加えて妊娠8ヶ月の妊婦という、なかなか厳しい設定です。
では実際どういった事が障害となるのでしょうか?
筆者に妊娠の経験がないため、電動車椅子と両下肢義足に着目し、働く際の問題点を挙げていきます。

『電動車椅子』

電動車椅子は、充電式のバッテリーを動力に動くタイプが主流です。肘掛けの辺りにあるレバーを操作するだけで、前後左右の方向転換が可能です。

問題点①:バッテリーの充電時間

一般的なタイプであれば、3〜4時間の充電で満タンとなり、約10kmの走行が可能です。
ところが会社で勤務する事を考えると、自宅から会社までの距離が10km圏内にないと充電が切れてしまいます。
また社内でも電動車椅子を使用する事を考えると、デスクワークの際や昼休憩の際は、バッテリーを充電させて貰える会社でないと入社する事は困難となります。

問題点②:悪天候の際の出勤

電気を使用しているため、水に濡れる事は故障の原因となります。
雨の日は、電気系統の部分まで覆い隠せるカッパを使用すれば走行は可能ですが、故障する可能性は0にはなりません。
タクシーや車での送迎を考えた場合、バッテリーなどの備品があるため一般的な車椅子より重く、30〜100Kgの重量があります。そのため車椅子使用者1人での積み込みは難しく、数名の協力が必要となります。
また折りたたむ機能が無いタイプの場合、一般タクシーへの乗車は出来ないため、他の手段を考える必要があります。

問題点③:電動車椅子の操作性

標準的な車椅子の全長が120㎝、全幅が70㎝です。
電動車椅子の大きさも同程度ですが、手で操作する車椅子と違い小回りが効かないデメリットがあります。
車椅子が直角路を通る際の幅は90㎝あれば通る事が可能です。対して、電動車椅子は120㎝の幅がないと通る事が困難です。
360度の方向転換は、車椅子は140㎝あれば動作可能。対して、電動車椅子は180㎝の幅が必要です。また180㎝は最低幅のため、前後への切り返しが何度も必要となります。
このため、バリアフリーに注力している会社でも車椅子用に廊下などの幅を設定していた場合、電動車椅子では移動が困難となる可能性があります。

『両下肢義足』

ドラマでは高校生の時に事故に遭い、両膝から下が義足と描かれていました。
外観と上記の話から、“下腿義足”を両側に装着していると考えられます。

問題点①:歩行が困難

片側の義足であれば、歩行が可能となるケースは多いです。ドラマでは両側の義足のため、統計的には歩行が困難となる可能性が高いです。
ただ膝関節は切断せずに残っているため、装具の重量分動かしにくいですが、膝の曲げ伸ばしは自分の意思で可能です。
そのため、立ち上がる事や立ち仕事などが可能な場合、仕事の幅が拡がります。

問題点②:幻肢痛の出現

切断し足のないはずの部分に、強い痛みを感じる事があります。またこの症状は下肢切断者の80%で生じると言われています。
業務中に痛みが生じた際に、休める環境があるかどうかで入社できる会社が限定されます。

【まとめ】

車椅子生活の方の働き方は様々ですが、入社する会社側の問題と就業者側の問題が合わさり、問題が複雑となります。企業側は障害に対する深い理解と環境作り、就業者側は“障害者”として見られる事に対する劣等感とどう向き合うか。そして、今回記載した内容は一部であり、障害者問題は多岐に渡ります。
この記事を見て頂いた方が“障害”といった事を、少しでも考えるきっかけにして頂けると幸いです。
【参考文献】
厚生労働省ホームページ
国土交通省 第4章 基本寸法等
下肢切断 日本理学療法協会

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