スウェイバック姿勢改善のためのトレーニング
『最近おなかがポッコリでてきたなあ・・・』という方は多いのではないでしょうか。
その中にはそんなに太っているわけではないのにお腹だけが出て見える方もいるはずです。そんな方はもしかしたら姿勢が悪いのかもしれません。
今回はそんな『ポッコリお腹』の原因の代表的な姿勢、『スウェイバック姿勢』というものについて詳しく解説、その予防やトレーニングについてご紹介していきたいと思います。
『おなかポッコリ』体型、スウェイバック姿勢とは
おなかポッコリ体型の人はスウェイバックかも!?
典型的な『スウェイバック姿勢』とは楽な姿勢で立った時に
- 首・頭が肩のラインよりに飛び出している
- 背中が丸まっている(ネコ背)
- 骨盤が後ろに傾いている(ココが重要!)
- 膝が反っている(過伸展)
状態を指します。(姿勢というのは個人によって異なります。様々なパターンがありますのですべてがこれには当てはまりません。)
場合によっては胸を後方に引くような姿勢ですので胸下がり姿勢と表現することもあります。
上記でご紹介した中でも重要なのが③の骨盤の位置です。骨盤が後ろに傾くと相対的にお腹を出すような姿勢に誘導されるため、そこまで太っていなくても『ポッコリ』お腹が出ているように見えてしまうんですね。
このような状態になっていると姿勢を改善しなくてはダイエットや腹筋をがむしゃらに行っても根本的な改善にならない場合が多いのでより姿勢を意識していく必要があります。
スウェイバック姿勢のセルフチェック方法
まずはご自身がこのスウェイバック姿勢に当てはまるのかをチェックしていきましょう。
・立ち姿
まずはご自身で鏡や、写真を撮って立ち姿を確認しましょう。上記①~④の項目が当てはまっていませんか?特にポッコリお腹の直接の原因は③の骨盤ですのでもう少し細かくチェックしていきましょう。
・壁に立つ方法
理学療法士などの専門的な職種は実際に触知しながら全身のアライメント(配列)を確認していきます。
しかしもっとわかりやすい方法でポピュラーなものが壁を使ったセルフチェック方法です。
フラットバックやネコ背単独のタイプ、反り腰などスウェイバック姿勢以外にも問題がある姿勢は数多くあり、すべての人が型にはまっているわけではなくそれぞれの複合型なども存在しています。
【壁立ちチェック法のやり方】
- 壁にかかとをつけた状態で立つ
- 頭、背中、腰、お尻が壁にどのような関係性でついているかをチェック。頭・背中・お尻は自然に壁につき腰は手のひら一枚分が楽に入るぐらいが理想的です。
上記のチェックをしたうえで『背中は着くけどお尻は着かない』パターンの人が典型的なスウェイバック姿勢の可能性があるといわれています。
実際にやってみると分かりますがほとんどの人がこのテストを行った時に何らかの課題が見つかります。
上記のように複合している場合もあるので一概には言えませんがご自身がスウェイバックの兆候に当てはまっていないかをこの方法を使って確認してみましょう。
スウェイバック姿勢の原因は?
生活習慣など、姿勢はその人の『歴史』
姿勢はその人の『歴史』を語るモノと言っても過言ではありません。鞄のかけ方の癖一つやその時の精神状態(落ち込んだときには背筋を伸ばせないですよね。)で姿勢が変わってきます。
スウェイバックに限らず不良姿勢はその人の生活習慣と密接にかかわっている場合が多いです。もしデスクワークをしている人なら一度ご自身の仕事をしている最中の姿勢を振り返ってみてください。
パソコンに向かって頭を突出し、背中を丸めて作業を行っていませんか。正しくスウェイバック姿勢に似ていると思いませんか?
スウェイバック姿勢で想定される問題点
スウェイバック姿勢は『ポッコリお腹』で見た目の問題はありますが、それ自体は日常生活などに大きな影響が出るとはいえません。しかし、スウェイバックをはじめとした不良姿勢は見た目だけではなく健康面にも影響を及ぼします。
痛み
腰痛に関して、科学的にまだわかっていない部分が多いのですが姿勢がゆがむことで負担を強いられる筋肉や靭帯などの組織が出ます。この組織への負担や関節の動きに異常を生じた場合、痛みを引き起こす可能性は十分に考えられます。
また姿勢は全身とのつながりです。スウェイバック姿勢は首や肩、膝を伸ばす大腿四頭筋など多箇所への痛みを発生させる原因となります。
腰椎椎間板ヘルニアのリスク
姿勢が悪いだけならまだましなのですが、特に骨盤が後傾するスウェイバック姿勢は腰の骨にも影響があります。
本来腰の骨(腰椎)は少し前弯(反った状態)が生理的な姿勢と言われていますが、スウェイバック姿勢になるとこの前弯が減少する傾向(腰椎後弯)があります。
腰椎が前弯することで腰の骨と骨の間にある椎間板が後方に飛び出しやすくなり、椎間板ヘルニアになる可能性が高まります。
精神面への影響
痛みを例にとると、動くことがもちろん億劫になってきますよね?
動くことが億劫になると活動性が低下し、さらなる筋力の低下をきたし精神面にも影響を及ぼす可能性があります。それがさらなる機能の低下を引き起こすという悪循環になる可能性は非常に高いです。
スウェイバック姿勢の人はどこをトレーニングするべき?
それでは具体的な対策を考えていく前に、一般的なスウェイバック姿勢の状態を見てみましょう。
スウェイバック姿勢の人の身体の状態
代表的なスウェイバック姿勢の人のアライメント(骨や筋肉の配列)から筋肉がどのような影響を受けバランスを崩しているのかを考察してみると、以下のような特徴が代表的です。
- 胸筋の過緊張(強い)⇔背筋(脊柱起立筋)の弱化
- 内腹斜筋(お腹の筋肉)の過緊張⇔外腹斜筋(お腹の筋肉)などの弱化
- ハムストリングス(太もも裏)の過緊張⇔大腿四頭筋(太もも前)、大臀筋(お尻)の弱化
このように前後の筋肉にアンバランスが生じていることが多いような印象を受けます。この後にご紹介するエクササイズではこれらの筋肉をターゲットに行っていきます。
ただしここで紹介している問題点についてはあくまで傾向として多いものであ、確定するものではありません。トレーニングの最中に過剰な痛みや違和感などを感じたらすぐにトレーニングを中止し専門家に相談するなどしましょう。
スウェイバック姿勢改善エクササイズ3選
スウェイバック姿勢の身体の状態でも説明した箇所をトレーニングしていきますが、今回は特別に器具を使わない、自宅や職場でもできるトレーニングを中心にご紹介していきたいと思います。
エクササイズ① ハムストリングスのストレッチ
スウェイバックの人はハムストリングスの緊張が高い場合が多いです。
ハムストリングスのストレッチは立った状態から片膝をついたストレッチや、椅子に足をまっすぐに乗せた状態で上体を曲げるストレッチなどが有名です。お風呂上りなどに取り組んでみるのがベストです。
エクササイズ② レッグレイズ
骨盤を前傾させるための筋肉の一つである腸腰筋やその他にも腹筋トレーニングにもなる種目です。足をまっすぐ伸ばした状態で拳上するだけのトレーニングですが、上半身を固定しながらゆっくりとこの動作を行うのは、スウェイバックの人にはかなりきつい運動になります。自宅で横になった時など様々なシチュエーションでチャレンジしてみてください。
エクササイズ③ スクワット
おなじみ『キングオブトレーニング』と呼ばれる大腿四頭筋強化の代表的な自重トレーニングです。ポピュラーな種目ですが、四頭筋をうまく効かせる為にはお尻の位置や上半身の位置など意外と正しく運動を行うのが難しい種目でもあります。
スウェイバック姿勢改善の為に日常生活で意識すること
原因の部分でもお伝えしたように姿勢の変化は日常生活に密接に関与しています。普段の生活から良姿勢を意識する、またご自身がどのような姿勢になっているのかを自覚する習慣をつけることが重要です。
おわりに
いかがだったでしょうか。問題点の部分でもご説明したように、姿勢というのは全身の『補い合い』です。お腹が出ているからお腹のトレーニングをするだけでなく全身のトレーニングで不良姿勢にアプローチする視点が重要になります。反応のいい人はトレーニング後一時的に姿勢が良くなる人もたくさんいますのでまずは行いやすそうなトレーニングから開始してみましょう!