ぎっくり腰ってどんな感じ?症状と対処法について
ぎっくり腰は誰にでも突然起こりうるアクシデントです。
ぎっくり腰になると激痛に襲われて数日間動けなくなることもあります。
また、一度なった人は繰り返しやすいといういわれもあり、日々警戒しながら生活している方もいるほどです。
今回は、ぎっくり腰についてその状態と症状、対処法についてご説明します。
ぎっくり腰とは?
「ぎっくり腰」は一般的に呼ばれている名前であり、疾患名としては「急性腰痛症」となります。
その名前の通り、ある時を境に急にひどい腰痛が発生することの総称ですので、重い物を持ち上げた瞬間に痛くなる場合、尻もちをついて痛くなる場合、朝起きたら突然腰の痛みがでている場合などそのきっかけは様々です。
痛みはどこからくるの?
腰部は積み木のように積み重なっている「腰椎(背骨)」と腰椎と腰椎の間でクッションの役割をしている「椎間板」、腰椎の中を通る神経である「脊髄」、腰椎の曲げ伸ばしの動きを制御する働きを持ち腰椎の両側にある「脊柱起立筋」が主な構成体です。
また、腰椎同士の接する部位には「椎間関節」という関節があります。
一口にぎっくり腰と言っても腰部はこれだけの構成体から成っているので、傷める場所もその方によって異なります。
勢いよく尻もちをついたときは、腰部への垂直方向の圧迫の衝撃で腰椎の骨自体やその間の椎間板が炎症を起こすことが多くあります。
また、長時間の座りっぱなしや重たいものを担ぐこと、腰を曲げる作業を多く行うと椎間板が押しつぶされ本来の位置からはみ出して神経を圧迫してしまうということがあります。これがよく耳にする「腰椎椎間板ヘルニア」という状態です。
スポーツ中のジャンプや床の荷物を持ち上げるときなど一気に腰を反らす動きでは、腰椎の動きが椎間関節の可動域以上になってしまい椎間関節で炎症を起こすこともあります。
そして、ここまでに述べたどのシチュエーションでも傷めることがあり、ひどい筋肉痛を起こしたり、肉離れによる炎症を起こすのが脊柱起立筋です。
それぞれ腰部の異なる構成体を損傷していますが、いずれも炎症を起こしているという点では一致しています。
ぎっくり腰の症状
慢性的な腰痛はあってもぎっくり腰をまだ経験したことのない方は、ぎっくり腰になったらどんな症状があるのかと気になるかもしれません。
また、初めてぎっくり腰になられた方は経験したことのない症状にこれってぎっくり腰?と戸惑う場合もあるかもしれませんので、ぎっくり腰の症状について整理してみます。
強い痛み
ぎっくり腰になった方で最も多い症状が、腰部周囲の強烈な痛みです。
急性期である数日は炎症による痛みが強いので、安静にしていても腰部がズキズキ、じくじく痛むことがあります。
安静時に痛みがなくても、動いたり損傷部位に負担をかけるような姿勢をとると強い痛みがあることもあります。
腰が抜けて動けない
「腰が抜ける」という表現がありますが、これは腰に力が入らず立ったり歩いたりが困難である状態です。
人間には自分の身体を守る防衛本能というものが備わっています。
腰部のどこかしらの組織を傷めていると、その部位に負担がかかって痛みを伴った際に本能的に筋肉に力が入らないようにし、自分の身体を守ろうとするのです。
これが、自分が動こうとした意志に反して起こるので「腰が抜けて力が入らない」となるのです。
神経症状
腰部自体の症状に加えて、現れることがあるのが神経症状です。
腰椎の中には脊髄が通っており、その脊髄から下半身の動きを司る神経が枝分かれしてでています。
椎間板ヘルニアで神経を圧迫してしまった場合は、その神経が司っている範囲の筋肉が動きにくくなったり、皮膚の感覚が鈍くなったりしびれるといった神経症状が出現します。
ぎっくり腰になった時の対処法
いざぎっくり腰になってしまったらどうすればよいのでしょうか?
病院を受診したくても痛みが強すぎて動けなかったり、どうしても都合上その日には受診できないという方もおられます。
そんな方のために、ここでは自宅で行うことのできるぎっくり腰の対処法についてご説明します。
安静にする
ぎっくり腰の痛みの一番の原因は炎症です。
炎症を落ち着かせるために最も必要なのは患部の安静です。
急性期である2~3日はできる限り横になって過ごすことが最善ですが、その中でもご自分の最も楽な姿勢が患部に負担のない姿勢になりますので見つけるようにしてみてください。
また、痛みのでる動きは特に控えるようにしてください。
亜急性期に入る数日後から1週間後は徐々に痛みも落ち着き動き始めることができるようになってくるかと思いますが、動作はゆっくりすることを心がけ、痛みの出やすい動きはまだ控えること、長時間の同じ姿勢などにも気を付けるようにしましょう。
アイシングを行う
炎症を落ち着かせるために効果的な対応としてアイシングがあります。
アイシングとは患部を冷やすことで、氷嚢やビニル袋に入れた氷を患部に直接あてます。
15~20分くらい冷やしては離し、皮膚の感覚が元に戻ったらまた冷やします。
炎症を落ち着かせるだけでなく痛みの感覚を麻痺させる効果もあるので、安静にしていても痛いような場合にはとても効果的です。
保冷剤の使用も禁止ではありませんが、凍傷になる恐れがありますので、十分に注意してください。
湿布については消炎鎮痛剤が皮膚から浸透することで炎症を落ち着かせる効果は期待できますが、患部を冷やすという効果はほとんどありません。
特にぎっくり腰になったばかりの急性期には湿布だけでなく氷で直接冷やすことをおすすめします。
消炎鎮痛剤を使用する
炎症を落ち着かせる方法としてアイシングとともに効果的なのが、消炎鎮痛剤の使用です。
消炎鎮痛剤の中でも皮膚から患部に薬を浸透させるものが湿布、血液を通して薬を患部に届けるのが内服薬(飲み薬)ということになり、どちらも目的は同じです。
消炎鎮痛剤には炎症を落ち着かせる効果もありますが、痛みを一時的に鎮める効果もあります。
薬が効いている間は楽になり動けるような気がするかもしれませんが、治ったと勘違いして動き過ぎてしまうと薬が切れたときにさらに悪化していることもありますので、くれぐれも注意して使用するようにしてください。
コルセットを使用する
ぎっくり腰の急性期からあ急性期にはコルセットも有効です。
腰部を固定できるだけでなく、腰を支えている腹筋群や背筋群をサポートすることで、やむを得ず動いているときにも傷めている腰部の筋肉や関節の負担を軽減することができます。
慢性期に入っても常時コルセットをし続けていると、コルセットに頼りすぎて腹筋や背筋が働きにくくなり、自分自身の機能が低下してしまうということがありますが、負担を減らすことが最優先の急性期にはとても効果的なツールです。
おわりに
今回は、ぎっくり腰の状態と症状、対処法についてご説明しました。
ご自分の身体の状態を理解し、正しい対処ができるかどうかで治癒までにかかる日数も随分変わってきます。
誰にでも起こりうることですのでしっかりと理解していただき、万が一のときに備えていただければと思います。