猫背姿勢改善のためのトレーニング
日本において不良姿勢の代表格として最も有名なのが『猫背』という言葉。生活習慣やオフィスワークの増加によって多くの人がこのネコ背に悩んでいます。
ネコ背は見た目の変化だけでなく、体や精神状態にも影響を及ぼすもので自身のチェックと改善のためのエクササイズが必要です。
今回はそんなネコ背について原因やネコ背による弊害、ネコ背の方におすすめの運動やストレッチなどについて解説していきたいと思います。
日本人の多くが悩むネコ背とは?
ネコ背姿勢とは
ネコ背姿勢とは一般的に頭から背骨の上部(頭部~胸椎)にかけて丸くなっているような姿勢を現します。
ネコ背姿勢は体が丸くなって見えるため、見た目にも自信ないような姿勢に見えてしまったりして印象は良いとは見えません。
背中が丸くなっているといえば腰が大きく曲がっているおばあちゃんを想像しますが、ネコ背は若年者にも多く今や日本人のほとんどがネコ背、またはネコ背予備軍と言っても過言ではありません。
もともと日本人は農作業や細かい手作業が得意で生活様式などから欧米人に比べてネコ背になりやすいですが現代はパソコンやスマホの普及に伴ってその割合は急増。一目見てわかるネコ背の小学生も町で多く見かけるようになってしましました。
ネコ背姿勢で想定される問題点
「たとえネコ背でも生活に支障がなければ問題ない。」「見た目は気にしない。」なんていう人はいいかもしれませんが、ネコ背は本来の人間の構造を考えると理想的な姿勢ではなく、体に負担がかかります。
初期の段階や進行に伴って以下のような問題が起こってくるリスクはネコ背ではない人に比べて高い為注意が必要です。
首痛、肩こり
ネコ背の部分の周囲、肩・首の症状は不良姿勢の影響で最も症状が出やすい部分と言えます。ネコ背は傾向として頭部前方偏移(頭・首が前に突き出している状態)を引き起こしやすいです。
頭部が前に出てしまうと本来まっすぐに乗っている頭の荷重を支える首や肩周りの筋肉の負担が上昇します。その為肩痛や首痛を引き起こす危険性が高いです。
腰痛
首から背中の背骨の配列(アライメント)が変化するとそこから下の腰椎や仙骨などの状態にも影響が出ます。
本来きれいなS字カーブを作り重力に対応している背骨のバランスが崩れることにより腰椎周囲の組織負担が上昇し、腰痛を引き起こす可能性があります。
特に座った時にお尻の後ろの方で座る「仙骨すわり」が楽な方は、腰椎・骨盤のアライメントが変化している可能性が高いので腰痛には注意が必要ですね。
痛み
代表的な症状の肩こりや腰痛以外にも様々な痛みの原因になる場合があります。先に紹介した肩こりは頭痛の原因になります。
またネコ背は全身的な不良姿勢に波及し骨盤の後傾によるお腹ポッコリ姿勢などを引き起こします。こうなってくると体全体での筋肉や関節での負担のバランスが崩れることにより様々な筋肉に過負荷の状態が発生します。
筋力などでカバーできる分には問題は起きませんが限界を超えると太ももの筋肉の痛みなどを引き起こすこともあります。
全身的な疲労
姿勢がキレイな人に比べ猫背姿勢の人は疲れやすい、または疲れが取れにくいといわれます。
様々な原因が考えられますが、先でご説明した筋肉の負担から考えると姿勢のバランスの崩れが筋肉の働きのアンバランスを引き起こす事により、通常よりも力を入れた状態で立っておく、または座っておく事が必要になりますよね。
猫背は一種の状態に過ぎませんので他の不良姿勢の場合でも同じことが言えます。
精神的な変化
痛みや疲労が取れない、自律神経の問題が重なり精神的にも変化が見られることも考えられます。各種の症状で外に出るのがおっくうになる、病院に通うけど原因がはっきりしないなどのストレスが重なる事で自身の身体に対してどんどん不信感が募ります。
ネガティブな精神的変化は慢性疼痛の原因として有名ですからこのような変化はうつ病や筋力低下、疼痛の憎悪などの2次的な症状を加速させる為注意が必要です。
見た目上の問題
猫背の状態が高度になってくると明らかに見た目上の変化が見られます。
猫背は背中、腰、肩が前に出る為その姿勢は自信がなく感じてしまうことがあります。猫背の人としゃっきりとした姿勢の人では信頼感が変わりますよね。仕事などにおいて見た目は重要な要素ですので厳密にはこのようなところにも影響が出るといえます。
ネコ背セルフチェック
猫背の為の運動に取り組む為にまずはご自身の猫背度をチェックしましょう。猫背のチェック方法は簡単でまっすぐの壁があれば大まかなチェックが可能です。
壁立ちでチェック
- 壁を背にしてかかとをつけて立つ
- かかと、お尻、肩甲骨、頭の状態をチェックする
この状態になってみて、頭の部分と肩甲骨が壁につかなければ猫背の可能性が非常に高いです。また壁と腰の間にできた隙間もチェックしてみましょう。本来は手の平1枚分ぐらいの隙間が出来るのが理想ですが握りこぶしが入るほど隙間が空いている、手が入らない状態の場合はそり腰や骨盤後傾位の状態になっていることを示唆しています。
ネコ背姿勢改善エクササイズ4選
皆さんの姿勢はいかがでしたか?日本人のほとんどが猫背といわれている時代ですから当てはまった人も多かった思います。ここからはそんな猫背の人におすすめのトレーニングを4つご紹介していきます。くれぐれも無理をせず痛みや違和感を感じるようなら医師の指導を仰いでください。
エクササイズ① 大胸筋ストレッチ
まずは姿勢の変化によって固くなる筋肉をストレッチしていきましょう。身体が前かがみになる猫背ですが、このような状態の場合胸にある大きな筋肉の『大胸筋』が固くなりがちです。
大胸筋のストレッチは壁を使って行います。壁に片手をついた状態で横向きに立ち、体全体を壁についている手と反対側にひねっていきましょう。
胸の筋肉が引き伸ばされた感覚があれば成功です。軽度の人であればこのストレッチを行った後すぐに姿勢の変化が出る事もありますので壁立ちチェックと合わせて行ってみてください。
エクササイズ② 肩甲骨トレーニング
猫背姿勢によって身体が丸まる事で肩甲骨の位置も変わってきます。
大胸筋に柔軟性を付けたら反対に肩甲骨を寄せる筋肉をエクササイズして背中を伸ばす方向にもって行きましょう。筋肉で言えば僧帽筋や菱形筋といわれる部分になります。
肘を曲げた状態で肩甲骨を寄せる意識で反復練習することでこれらの筋肉を収縮させる事ができます。『え?それだけ?』と思うかもしれませんが特別な筋トレをしていない限り20回ほどしっかりと肩甲骨を寄せるとそれなりの疲労感を感じる事ができます。
それだけこの部分の筋肉を普段から意識して使えていないという事です。
エクササイズ③ 骨盤エクササイズ
猫背を改善する為には背中だけではなく全身の姿勢状態を改善する事が重要です。先に述べた仙骨座りに代表される骨盤後傾(後ろに倒れている)状態ではいくら肩、首間周りだけトレーニングしていても効果的とはいえません。
骨盤を前傾の方向に持っていくトレーニングは色々と有りますがまずは②の肩甲骨トレーニングを座って行う際に、正しい座り方ができているかをチェックしましょう。
座面のお尻の感覚に注意しお尻の両サイドの中心にある『坐骨』に体重がかかっている事をチェックしてください。
坐骨にしっかりと体重を乗せれば少し腰が反った感覚と下腹あたりに力が入るのが感じられると思います。
まずはこの姿勢をキープするだけでも身体にはいい刺激になりますので導入編として調整してみましょう。職場などで骨盤矯正用のクッションなどを使ってみてもいいですよね。
エクササイズ④ フロントプランク
最後の仕上げとしてプランクという種目を1分ほど実施しましょう。両肘を床に着き身体をまっすぐに保つ体幹トレーニングです。このとき腰が下に落ちない、曲がり過ぎない、猫背にならない事を意識する事で全身の姿勢トレーニングになります。最初は1分間キープを目指して欲しいですが姿勢が悪い人にとっては正しいポジションでのキープはかなりきついでしょう。
おわりに
いかがだったでしょうか。ありふれた不良姿勢の猫背ですが放置していると様々な症状のリスクになる可能性もあります。反対に姿勢を意識する事で仕事や健康にプラスになる可能性もありますので皆さんも今回の記事を参考に姿勢改善トレーニングに是非取り組んで見ましょう!