【ランナー必見】足の内側が痛い時の原因と対処法【脛が痛い】
走ることが多いスポーツをやっている人に多く、運動時や運動後に下腿(すね)内側に慢性的な痛みが起こるものを「シンスプリント」もしくは、「過労性脛部痛」と呼ばれています。
マラソンランナーにおけるランニング障害の15%を占めると言われています。
痛みを我慢して走っていると走れなくなってしまい、病院を受診すると疲労骨折と診断されて長期間の運動中止を指示されることがあります。
時間がたつと非常に治りが悪くなるためできるだけ早めに整形外科への受診をお勧めします。
シンスプリントの原因
オーバーユース症いわゆる使い過ぎです。
ランニングやジャンプなどを反復することにより下腿(すね)内側の骨に刺激が加わることが原因のひとつです。
そのほかにも、過度な運動、O脚、扁平足、ふくらはぎの筋肉の硬さ、股関節、膝関節、足関節の硬さ、アスファルトなどの硬い路面、薄く硬いシューズなどが発症の誘因となります。
その症状としては、足首、母趾で地面を蹴る筋肉が下腿骨(すね)の骨膜を引っ張り炎症が起こります。
特に骨膜を引っ張る筋肉として、足趾を曲げる筋肉である長趾屈筋(ちょうしくっきん)、足底のアーチを作る後脛骨筋(こうけいつきん)、親趾を曲げる筋肉である長母趾屈筋(ちょうぼしくっきん)の3つの筋肉があります。
この筋肉が硬くなってしまうことによって、下腿骨(すね)の表面を覆う骨膜を引っ張ってしまって、損傷を起こしてしまいます。
シンスプリントの重症度分類
シンスプリントの重症度は4段階で分類されています。
ステージⅠ:運動後にのみ痛み
ステージⅡ:運動後に痛みがあるが、パフォーマンスに影響はない
ステージⅢ:運動中に痛みがあり、パフォーマンスが低下する
ステージⅣ:安静時にも慢性的な持続する痛み
骨膜の炎症ですので、レントゲン上では変化がないのが一般的です。症状が続く場合は再検査も必要であり、MRIなどを検討します。
運動の制限に関して
重症度分類のステージⅡ以下であればスポーツ活動の制限は必要なく、ステージⅢ以上では走行、ジャンプを制限する必要があります。
スポーツ復帰への対処方法
シンスプリントの治療には
- 運動療法
- 物理療法
- インソール
と言う選択肢があります。
運動療法
運動療法の基本としては、
- 長母趾屈筋、後脛骨筋、長母趾屈筋などすねの内側にある筋肉の柔軟性を改善させること
- 足の中の筋肉を鍛えて足のアーチを高めること
以上の2点が治療の柱になります。
長趾屈筋(足趾を曲げる筋肉)
長趾屈筋は第2から第5の足趾を曲げるための筋肉です。この筋肉が硬くなってしまうと、足趾の内在筋を上手に使うことが出来なくなってしまいます。
長趾屈筋のストレッチ
- アキレス腱を伸ばした状態で親指から小指までをつかみます。
- 親指から小指をつかんで痛気持ちいいところまで反らしてストレッチします。
※最初は30秒ほどを目安にストレッチしましょう。
後脛骨筋(足底のアーチを作る筋肉)
後脛骨筋は足の土踏まず(アーチ)を形成するために重要な筋肉です。
後脛骨筋のリラクゼーション
軽い筋収縮を繰り返し、筋肉内の血流を改善させ、リラクゼーションさせる方法を反復収縮と言います。今回はこれを使っていきます。
- 足首を下げ、親指から小指までをつかんで曲げます。
- 内くるぶしと土踏まずを近づけます。
- この動作を10回ほど繰り返します。
長母趾屈筋(親趾を曲げる筋肉)
長母趾屈筋は、ランニングなどの際に親趾で蹴りすぎてしまうようなランナーが痛めやすい筋肉です。
長母趾屈筋のストレッチ
- アキレス腱を伸ばした状態で親指をつかみます。
- 親指をつかんで痛気持ちいいところまで反らしストレッチします。
※最初は30秒ほどを目安にストレッチしましょう。
足部の内在筋(足の中にある筋肉)




内在筋がしっかりと働くことで足の内側縦アーチを保持し、脛骨内側への負担を軽減させることができます。
足部内在筋の筋力トレーニング
- 足趾を床に着け、踵を浮かせます。
- その状態で足趾を床に押し付けます。
※この際、足趾の第一関節が曲がってはダメです。第一関節が完全に伸びきった状態で足趾を床に押し付けることで足の内在筋が促通されます。
物理療法
アイシング
アイシングによる効果は、
- アイシングした部位の温度を低下させる
- 細胞の新陳代謝を低下させる。ダメージを最小限に抑える
- 炎症を軽減させる
- 痛みを軽減させる
- 血液循環が良くなる
- リラクゼーション効果がある
※アイシング時の注意点
アイシングすることで局所の神経や筋肉の活動は低下しているため、アイシング後の運動はダッシュなどの俊敏な動作は行わず、ストレッチングなどの軽度なものにとどめるのが望ましいです。
アイシングの方法
・痛みの出ているすねの内側にアイシングを約20分ほど行います。
・氷でマッサージするアイスマッサージも効果的です。
インソール
シンスプリントの要因の一つとして、足の形状の問題があります。
扁平足は一般的によく聞く言葉だと思います。偏平足とは、足の内側に本来あるべきアーチ部分が低下しており本来のクッション機能を十分に発揮できていない状態を言います。
シンスプリントはこの扁平足、と関係があります。
メカニズムを詳しく説明すると、
- 偏平足になる
- アーチを支える内側の筋肉の腱が引っ張られる
- これらの筋肉の腱が付着するすねの骨の骨膜に負担がかかる
- シンスプリント発生
以上となります。
ここの理解がなければいくら筋肉をリラクゼーションしたり、筋力強化、アイシングしたりしても症状の改善は難しいです。
土踏まずのアーチが低下してしまうと、それを補うように上記した足の内側アーチを構成する筋肉に負担がかかってしまいます。
筋肉を鍛える方法では限界がある場合があります。そこでインソールを使用する方法があります。
インソールの目的
- 足のゆがみの改善(扁平足の補正)
- 疲労の軽減
- 歩行の補助
- けがの予防
- 足趾の機能改善
- 関節痛の予防
などに役立ちます。クッション性があって、履き心地が良いだけで選ぶのではなく実際に歩いてみて自分に合っているかどうかを確認することが重要です。また、時には理学療法士に歩いているところを確認してもらいインソールを調整してもらうことも大事です。
土踏まずのみサポートしているインソールが一般的ですが、土踏まずだけではなく踵の骨からサポートしているインソールでなければ、ランニングの際、踵が接地した瞬間から足のアーチが崩れてしまいます。
そのため、市販のインソールを購入する場合でも踵骨部分からアーチをサポートしているようなインソールをおすすめします。
おわりに
ランナーにとっては痛みで走れないのは相当なストレスだと思います。しかし、けがをして長期間走れなくなっては元も子もありません。できるだけ早く適切な処置を施さなければ今後のランナー人生に大きな影響を与えてしまいます。そのために必要な知識を持つことが非常に重要なことです。
まずは、筋肉の柔軟性を確保すること、炎症が起きていればアイシングをする。トレーニングをして筋肉を強化する、正しい関節の位置で運動ができるようにインソールの工夫をすること。
以上のことを最低限知識として持っていただくだけでも今後のランナー人生が大きく変わると思います。
シンスプリントSPORTS MEDICINE LIBRARY ザムスト
歩行場面における足部内在筋の機能的役割の解明 県立広島大学大学院 博士論文