坂口憲二が発症した大腿骨頭壊死とは?どんなリハビリをするの?
坂口憲二さんは医龍や池袋ウエストパークといった有名作品に出演し、ドラマやCMでよく見かけていました。しかし、現在は俳優業を休業してコーヒー焙煎士として第2の人生を歩んでいることが先日報道されました。その坂口憲二さんが俳優業を休業せざるを得なかった理由として、「大腿骨頭壊死症」を発症されたためとされています。坂口憲二さんを苦しめた「大腿骨頭壊死症」とはどういった病気なのでしょうか?この記事で特徴やリハビリ方法について解説していきます。
大腿骨頭壊死症とは?
大腿骨頭とは、股関節のうち太ももの骨である大腿骨が骨盤の中に入っている部分のことを指します。つまり、骨盤を通して体重が大きくかかる部位ということになります。その体重を支えてくれる大腿骨頭が何らかの原因で壊死してしまい、本来丸い形であるものが陥没して変形してしまう病気が「大腿骨頭壊死症」と呼びます。変形性股関節症や骨粗しょう症などから併発して生じるものと、特に原因がわからない特発性大腿骨頭壊死症に大別され、坂口憲二さんは特発性大腿骨頭壊死症と診断されました。
どうして大腿骨頭壊死症は発症するの?
大腿骨頭は骨盤の中に入り込み、体重を支えるために関節包という組織や靭帯に覆われています。関節内に深く入り込んでいるため血流が乏しいことが特徴の部位で、もともと骨折なども治りにくい部位なのです。そのため、何らかの原因で血流が途切れてしまい、それでも体重がかかり続けることで組織が徐々に壊死してしまい、壊死したことで脆くなった骨が陥没してしまうという病気です。つまり、大腿骨頭への血流が途切れてしまった状態で体重がかかり続けることが原因であると思われます。
どんな症状が出るの?
特発性大腿骨頭壊死症は変形性股関節症などと併発して進む通常の大腿骨頭壊死症と比較して急速に症状が進行することが特徴です。壊死のみでは痛みは出ませんが、急速に壊死が進むことで体重に耐えきれなくなった大腿骨頭が陥没してしまいます。その陥没によって体重がかかるたびに痛みが出てしまい、例えば歩くことで痛みが出たり、しゃがみこむ時に痛みが出たりといった症状が出ます。
どのような治療をするの?
大腿骨頭壊死症の治療は手術などの観血的治療もしくはリハビリを中心とした保存療法が主な治療となります。
手術の場合には骨切り術といって、大腿骨頭の向きを変えることで骨に負担がかかる部位を強制的に変えることで痛みにくくする方法や、股関節に人工関節を入れる、もしくは大腿骨頭に銀歯のような被せ物をする大腿骨頭置換術など、患者さんの状態によって手術方法を使い分けます。
保存療法の場合にはリハビリが主な方法になります。詳しくは後述しますが、主には筋力強化を行うこと、また痛み止めを使うことや杖を使用することで痛みを感じにくくして歩行しやすくなるような方法を考えます。
大腿骨頭壊死症に対するリハビリとは?
程度によってはリハビリで痛みを感じにくくすることは可能です。大腿骨頭壊死症のリハビリで重要なことは大腿骨頭へかかる負荷を小さくすることを第一に考えます。そのために重要なことは、「筋力強化」と「免荷」です。
筋力強化とは?
関節を支える要素は3つあり「骨」、「靭帯」、「筋肉」の3要素からなります。
大腿骨頭壊死症ではこの要素のうち、骨は壊死しているため骨にかかる負担を減らさなければなりません。つまり、靭帯と筋肉へかかる負担を大きくすることで骨にかかる負担を減らそうと考えます。しかし、靭帯は鍛えられるものではありません。
そのため、必然的に筋肉を鍛えることで大腿骨頭へかかる負担を減らそうと考えます。
大腿骨頭壊死症で大腿骨への負担を減らすために強化するべき筋肉は臀筋群、内転筋群、腸腰筋など、股関節周囲の筋肉を鍛えることが中心となります。
マシンなどを使った単純な筋トレに加え、スクワットなど体重を乗せながら筋トレをしていきます。その際に、どのような動かし方をしたら痛みが出るのかを確認しながら筋トレを進めていくことが重要です。
痛い動きを避けるためにはどの筋肉を使えば良いのか、どのような動きをすれば痛みを感じやすいのかを確認することで、日常生活での痛みを避けることが可能になります。
免荷とは?
先ほどの筋力強化では大腿骨頭への負荷に耐えるためのリハビリですが、症状が進んでしまった場合、いくら筋力を鍛えても痛みが出てしまうことがあります。そのような場合にこの免荷という方法を考えます。
免荷といえば難しく聞こえますが、ようは大腿骨頭へかかる負担そのものをなくそうという考え方です。例えば右足の大腿骨頭が壊死しているのであれば、左手に杖をついて左手と左足だけで極力体重を支えることで右足への負担を減らし、右の大腿骨頭への痛みを軽減する方法を考えます。また、体重を減らすことで足にかかる負担を減らすというのも免荷の一つです。このように支えきれないのであれば負担そのものをなくそうという考え方が免荷という考え方になります。
大腿骨頭壊死症を予防する方法は?
大腿骨頭壊死症は骨が陥没するまで症状、つまり痛みが出ません。そのため、痛みが出た時に結果的に壊死していたことに気づくということが多いため、大腿骨頭壊死症の予防は難しいというのが事実です。特に特発性の場合は原因が特にないため、事実上不可能に近いです。
特発性でない大腿骨頭壊死症では、ステロイド治療を長年続けていたり、骨粗鬆症を合併していたりする場合には股関節への負担を減らすことで予防は可能です。筋肉をつけること、また体重を減らすことで股関節の大腿骨頭への負荷を減らすことができます。
まとめ
以上が大腿骨頭壊死症に対する治療やリハビリの方法になります。坂口憲二さんの場合にはかなり進行してしまっている様子ですが、早期に発見できればリハビリで進行を遅らせ、日常生活で不安なく過ごすことも十分に可能です。痛みがある場合には無理をせず、整形外科で検査されてくださいね。