リハビリ予後予測を画像やFIMなどの数値以外の情報からどう判断するか
急性期、回復期、生活期のどのフェーズで働いていても、患者さんの目標やゴールを設定する上で予後予測は必要になってきます。最近は脳画像の情報を元に病態生理や予後を判断するケースも多いと思いますが、最終的にこの患者さんはどのくらいの機能回復ができ、ADLが獲得できるのか。どのくらい入院期間が必要か、週何回外来リハをやったら良いのかなど数値やデータでは示しにくい課題にぶつかります。
そんな時に、一つの考え方として大切なのが、1回のリハ後の患者さんの変化をしっかり評価していくということです。その考え方について、今回はお伝えしていきたいと思います。
なぜ、1回のリハ後の変化が大切なのか。
患者さんを治療していく際に、必要なことはしっかりとクリニカルリーズニングするということです。患者さんの問題点、目標を明確にせずに、リハを行っても患者さんを変化させることはできません。廃用予防で体力的な部分など一部変わることもあると思いますが、基本的な動作パターンなどは変化がありません。1回の治療後の変化を積み重ねていくことが、長期的な患者さんの目標達成に繋がっていきます。
例えば、脳梗塞で重度運動麻痺があり、移乗動作を非麻痺側優位に手すりを引っ張り回転し行ってしまう患者さんでリハ後の変化として麻痺側下肢で支持し、掴まりながらも非麻痺側下肢をステップしていくようになった。こんな変化がリハ時間内に起こらなければ、そのままの動作を続けてしまうし、目標も歩行獲得とはならないと思います。
機能的な回復の評価
1回の治療後の変化を見ていくことは先ほどお伝えしました。次は機能的な回復の評価をどのように見ていくか説明していきます。機能回復はADLとは異なり細かい部分を評価していかなければいけません。
関節可動域、筋緊張の変化、筋力の変化、姿勢や動作パターンの変化などです。リハ後の可動域が持続しているのか、姿勢の崩れや捻じれが治療後、次の日、次の外来リハ時に治療後の状態を保てているのかなどです。その積み重ねが、腕が挙がりやすくなり更衣が楽にできるようになったなどADLの改善につながっていきます。
ADLの評価
ADL自体の評価としては、動作学習をできているのかとうことです。治療直後にその動きが出来なかったのに1週間後に突然できるようになるかは難しいです。もちろん、急性期、回復期で経過の中で自然回復していくことはあると思います。あくまで、治療後の変化を見ていきます。
例えば、リハの中で上着を着る練習をしていて、リハ後であれば、麻痺側の上肢も伸びていて何とか自分で服を着れるが、朝に看護師さんとやると難しいといったケースは度々あると思います。そんな時は、どこまでなら自分でできて、どこから介助が必要かなどを明確にしていきます。なかなか普段のADL場面でできなければ、最終的にそこには家族の介助が必要という判断になります。回復期病棟であれば、退院1ヶ月前までには判断し、家族指導なども必要になってきます。
まとめ
今回、「リハビリ予後予測を画像やFIMなどの数値以外の情報からどう判断するか」というタイトルで、1回の治療後の変化から機能回復、ADL、入院期間などを評価する大切さをお伝えしてきました。1回の治療後の変化をみて姿勢、動作がどう変わっているか、そこが修正されてもなお認知機能や高次脳機能障害があり、安全管理が欠如してしまうだから最終的に見守りが必要などと評価していきます。
皆さんも細かい積み重ねを評価しながら患者さんと関わってみてください。