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メッシ左内転筋負傷:理学療法士が考えるプレーへの影響

メッシ左内転筋負傷:理学療法士が考えるプレーへの影響 

今年9月24日左内転筋負傷により、戦線離脱したリオネル・メッシ選手。 

直近では、8月右ヒラメ筋を損傷し、1ヶ月程度戦線離脱10月には右腕を骨折したが、11月には復帰しスタメンで活躍しています。 

大きいケガは無かったものの、今期はケガの絶えないシーズンでした。 

今回は左内転筋負傷に注目し、プレーへの影響を考察してみます。 

怪我の原因 

内転筋の負傷は、サッカー選手長距離選手など、長時間走る必要があるスポーツに多いケガです。 

次項で詳しく記載しますが、股関節の柔軟性や筋力が少ないと、動く毎にストレスがかかり、一定のストレスを超えると筋肉を損傷してしまいます。今回そのストレスがかかった部位が、“内転筋”だったため診断がついたのだと思います。 

治療期間・方法 

基本的には1週間〜2週間の安静で治る事がほとんどです。 

重症であれば、損傷部位で炎症を起こす可能性があるため、早期は安静冷却をする必要がある場合もあります。 

メッシ選手も10月の試合に出場していた事から、比較的軽傷だったのではないかと思います。 

筋損傷と肉離れは同じか? 

このニュースが報道された時に、筋損傷と肉離れは同じ。といった話がよく患者様や友人から言われる事がありました。 

確かに似た症状ですが、診断名としては別物になります。筋損傷は他に“筋挫傷”などと呼ばれます。 

肉離れは医学用語ではなく、正式には“筋断裂”と呼ばれます。 

その名の通り、筋肉を損傷したか断裂したかの違いで診断名が変わります。 

イメージとしては 

捻挫筋損傷靭帯損傷筋断裂靭帯断裂骨折の順で、重症だと考えて頂ければ大丈夫です。 

症状 

主な症状は受傷した部位の、痛み熱感腫脹です。 

検査をすれば損傷か断裂かの診断も比較的簡単に出来るようです。 

ただケガにもよりますが、筋断裂までは歩ける事も多いため軽視されがちです。 

そのまま痛みを我慢して動き続けると、炎症が増悪しどんどん痛みが強くなります。また痛みを庇い普段と違う動きをするため、また違った部分に痛みが出てくる。といった悪循環に陥ります。 

ケガが多いスポーツ選手は要注意ですね。 

今回、メッシは内転筋の違和感を感じ自己申告したそうです。プロアスリートとして、流石といったところですね。 

プレーへの影響はどうなる? 

内転筋負傷のため、内転筋が上手く働かなくなります。 

内転筋とは? 

恥骨筋大内転筋小内転筋長内転筋短内転筋薄筋の総称となります。 

簡単に言えば、骨盤から太ももの内側に付いている筋肉です。 

動きとしては、股関節を内側に閉じる作用があります。 

それだけでなく、歩く際に身体を支える作用や、立ち上がる際の骨盤を安定化させる作用があります。 

そのため上記の動作をする際に、痛みが強く出る。という事になります。 

メッシのプレーで考えると…? 

大前提として上記のように、歩行と立ち上がりの際に痛みが出ます。 

そのため、ベンチからピッチへ立ち上がる際に痛むでしょうし、プライベートで買い物をしている際も痛みが出ているはずです。 

サッカーのプレーで言うと、 

  • シュートの際に左足を軸足にできない 
  • 左足でのシュートはインサイドキックをすると痛みが出る 
  • ドリブルの際に左足でのボールコントロールが難しくなる 
  • フェイントをする際に左足に体重をかけると痛む(特にシザースは激痛) 
  • 相手選手とのコンタクトで容易にふらつく 

私はサッカー経験者ではありませんが、それでもこれぐらい問題が出てきます。 

有名なメッシ特有の3〜4人囲まれているところを、テクニックとスピードで突破。これはかなり厳しいと思います。 

プレーへの影響はこれだけじゃない…!? 

上記は内転筋負傷のみを考えた場合ですが、人の身体は“代償動作”といって、身体の弱い部分を他の強い部分で補う。といった働きが意識とは関係なしに行われます。 

これは本来、弱っているところに負担がかかり重症化しないようするための、身体の防衛反応になります。 

日常生活では以下のような事が、代償動作になります。 

  • 膝が痛いから、下の物を取る時にしゃがまずに腰を曲げて物を取る 
  • 首が上に上がらないから、身体を後ろに反らせて動く 

メッシ選手がこれから注意して欲しい事 

股関節が内側に閉じずらい代償動作として考えられるのは、以下になります。 

  • 腰を普段より捻る事で、足を閉じようとする=腰痛、特に左側の腰に痛みが出る可能性あり 
  • 膝を普段より内側に捻る=内側の膝に痛みが出る可能性あり(痛みを放置すると、内側側副靭帯を痛める可能性あり) 
  • 足首を普段より内側に捻る=関節のストレス増加による、疲労骨折の可能性あり 

このように他の部分のケガのリスクが高くなってしまいます。 

メッシ選手レベルのアスリートだと、上記に加え細かい全身の力を使っているため、足以外にも肩や首にも負担がかかっていると思います。 

代償動作は痛みが取れると、ある程度元に戻りますが、完全には戻りきらない事が多いので、動作指導が必要となります。 

ただもちろん、医療チームのバックアップはプロフェッショナル揃いだと思うので、しっかりと治療をして、早く100%のプレーを見せてもらいたいですね。 

まとめ 

今回、メッシ選手のプレーへの影響について考察してみました。 

重症では無かったとはいえ、アスリートレベルだと少し違和感があるだけでも、100%のパフォーマンスは発揮できません。 

特にケガの多い選手は、本人でも気付かない代償動作が細かいところに残ってしまっています。一つ違和感があるだけでも、パフォーマンスは下がってしまいます。 

まずはケガの予防が第一ですね。 

 

(参考文献)

ペリー歩行分析 正常歩行と異常歩行:武田 功 

運動連鎖〜リンクする身体:嶋田 智明、大峯 三郎 

ネッター解剖学アトラス:相磯 貞和 

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