良姿勢と不良姿勢のチェックポイントとは!?医学的な視点で自分の姿勢を確認しよう
健康に過ごすためには良い姿勢の方がいい。
というのはみなさんなんとなくわかっているとは思うのですが、では『どのような姿勢がいいのか』『悪い姿勢がどのようなデメリットを引き起こすのか』については意外と知られていない印象です。
筋力トレーニングや健康の為のトレーニングはこの姿勢を改善していくこともおおきな目標の一つです。
今回はそんな姿勢について『良い姿勢とはどのようなものか』『悪い姿勢にはどのようなものがあるか』『改善する為にどのような取り組みを考えていくべきか』について総合的なお話をしていければと思います。
良い姿勢とは
それではまず『理想の姿勢』について見ていきましょう。
ただし今回ご紹介するのはあくまで『理想』とされている姿勢です。人間は発達の過程や生活習慣でその姿勢を個性として適応させていきます。
ここで紹介している姿勢が完璧にできている人はほとんどいないのではないでしょうか。
しかし著しくずれている場合は問題が起きる可能性が高い体と言えますので、理想としてチェックしておきましょう。
前からみた姿勢のチェック
前からの姿勢のチェックでは主に『身体の傾き』をチェックすることができます。身体の傾きは主に
- 重心線が真ん中を通っているか。
- 左右の高さに違いがないか。
でチェックしていきます。
姿勢に傾きが出る原因は様々で普段の鞄の持ち方などの生活習慣や病気の影響、また上半身の傾きは下半身の筋力の左右差にも依存するため様々です。
またこの後に説明する横から見た姿勢の変化も含めて姿勢にはメンタルの影響も大きいといわれています。たしかに嫌なこと、落ち込んだことがあった時に胸を張って背筋を伸ばす気にはなれませんよね。
重心線で見る
『理想の姿勢』をあえてあらわすのであれば『重心線』という表現で姿勢を表すのが分かりやすいかと思います。重心線は肩幅で楽に立った時に足と足のちょうど真ん中で垂線を引きます。
本格的にチェックするなら写真などをとり、実際に中心線を引いてチェックしてみましょう。
前から見た時の重心線の確認は簡単。ようは『中心』をとおっているかを確認します。理想の位置は『眉間→乳頭の真ん中→おへそ』で確認すると分かりやすいかと思います。
左右の高さの違い
重心線が通る線をチェックしたら次は左右の身体の指標を比べて高さに違いがないかチェックしていきましょう。
最も体の傾きが分かりやすいのが肩の高さと腕の位置です。鏡の前やパートナーと向かい合い腕をぶらんと脱力した状態でチェックしましょう。
左右の肩の先端、およびおろした指先の高さに違いがあるかチェックすることである程度傾きを見ることができます。
また骨盤の高さも理学療法士などの仕事をしていればチェックは必須と言える項目ですが、肩や腕の高さに比べると少し見分けが難しいかと思います。
もしチェックする場合は肋骨から徐々に下に降りてくると固い骨盤に手が当たると思います。その位置が腸骨稜と呼ばれる骨盤の一番上の位置ですのでその部分の高さでチェックしてみましょう。
横から見た姿勢
横から見た姿勢では特に前後のずれについて観察することができます。
前方から見た姿勢に比べて特徴的な不良姿勢も多く、長時間のデスクワークや歩行量の減少などの影響で現代人特有の状態が見やすい姿勢と言えます。
全体の重心
横から見た際も理想とされる重心線があります。こちらも写真や鏡、パートナーの協力を得ながら確認しましょう。基準とする線はくるぶしから少し前の位置に垂線を引くと分かりやすいです。
この線が『耳たぶ(耳垂)→肩の中央→膝→くるぶしの少し前(外果)』を通る線が理想的と言われています。
チェックしたいポイント① 頭の位置
くるぶしに引いた垂線に対して頭(耳たぶ)が前後どちらの位置にあるのかを確認しましょう。特に多いのが頭部前方位という頭が前に出ている状態です。
現代人のデスクワークや生活スタイルからこのような姿勢が多くなったといわれています。頭部前方位になると首の筋肉のバランスが崩れるため、肩こりや頸の痛み、頭痛の原因の一つとされています。
チェックしたいポイント② 背骨のカーブ
生理的な背骨のカーブは首(頸椎)が前方、真ん中(胸椎)が後方、腰(腰椎)が前方にカーブするS字型をしているといわれています。この形がばねのようにしなり垂直方向からの重力に耐えやすい構造であるとされているんですね。
しかし、姿勢の変化はこの背骨のカーブのバランスを崩します。
特にこの後でも解説する大きな弧を描くように背骨が丸くなってしまっているいわゆるネコ背や首から肩甲骨にかけての湾曲がほとんどなくまっすぐな状態のストレートネックと呼ばれる状態が代表的です。
チェックしたいポイント③ 骨盤の位置
こちらも骨盤枕ダイエットなど様々な書籍が販売されるなど注目されているポイントです。骨盤は体の真ん中にある上半身と下半身の中継地点です。
それだけに骨盤の状態は多くの情報をもたらしてくれますし、この部分の異常は全身に波及する重要なポイントです。
基本的には骨盤が前に傾いている前傾、後ろにもたれるように傾く後傾のタイプがあります。
正確にどれだけ傾いているかは専門的に触れないと難しいところです。
簡単なチェックは壁にもたれた状態で腰と壁の間にどれだけ隙間があるのかでチェックしましょう。
この時、手のひらが入らない場合は後傾・握りこぶしが入る場合は過度に前傾している可能性があります。
不良姿勢の代表① ネコ背タイプ
不良姿勢として皆様ご存知の『ネコ背』です。チェックポイント①~②でいえば頭は前方、背中のカーブが大きなカーブを描く状態をいいます。
不良姿勢の代表② おなかポッコリタイプ
ネコ背になっている人で合わせて多いのがこのお腹ポッコリタイプです。専門家の間では『スウェイバック』等と表現されます。
チェックポイント①~③でいえば頭は前方、背中のカーブが大きいという特徴に合わせて骨盤が後ろに傾くようになっているのが特徴です。
この状態になると普段から腹筋の状態が効きにくくお腹が低緊張になる為「ポコッ」とお腹が出たように見えるのが特徴です。
実際の不良姿勢を2例だけ出しましたがもちろんこれらの不良姿勢がすべての人に当てはまるわけではありません。日常生活の過ごし方によって姿勢は十人十色です。
不良姿勢で引き起こされる可能性のある問題点
痛み
前述した『良姿勢』とはまとめると人間が重力と戦う上で最も効率的に支えられるような姿勢と言えます。
その為、理想の姿勢から左右・前後にずれると筋・骨格系のバランスが崩れます。人間の身体はうまくできておりゆがんだ姿勢でも一定の筋力があればある程度姿勢を保てるように補いあうことができますが、負担の大きい部分は痛みが出る可能性があります。特に筋肉が由来などで起こる腰痛などに対しては体のバランスを整えていくことが重要になってきます。
健康状態への影響
痛みなどの身体の不調が起こることで様々な健康状態の変化が出てきます。腰痛や肩の痛みが原因で十分な睡眠がとれないなどの生活リズムの変化も考えられるため注意が必要です。
見た目(運動連鎖の視点を踏まえて)
先述した不良姿勢は進行すると見た目にもかなり影響してきます。反対にネコ背を改善すれば背は高くしゃっきりとした見た目に変化しますし、ポッコリお腹も姿勢へのアプローチである程度改善する可能性があります。
心理状態への影響
姿勢と心理状況は密接にかかわっているといわれており両方向性に影響があります。
生活習慣などの影響で腰痛や肩こりなどの健康被害が及び、それが原因で日常生活がおっくうになってくるという負のサイクルが起こりやすいです。
健康な人ほど体の変化を感じやすいものですから未然に防ぐことが重要になってきます。
不良姿勢を改善する為に
不良姿勢を改善する為には不良姿勢になっている原因の筋力アップや過緊張部のストレッチなどの対応が必要になってきます。
そのポイントは厳密に言えば姿勢によって様々ですが、傾向として下半身でいえば大腿四頭筋や臀筋群へのアプローチ、腹筋群や骨盤底筋群などコアマッスルと呼ばれる筋肉達、上半身の姿勢において重要な役割を持っている肩甲骨の運動などが行われます。
おわりに
いかがだったでしょうか。
冒頭でも説明したように姿勢が完全に理想的な人はこの世にほとんど存在しないといってもいいです。皆さんの生きてきた歴史が姿勢に現れます。
問題なのはこの姿勢のずれが原因で問題が生じることです。
自分の姿勢を確認するという作業をしたことがない人が多いと思いますのでこの記事をきっかけに一度ご自身がどのタイプの姿勢に当てはまるのかをチェックしてみると面白いと思いますよ!