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高齢者のフレイルとは?フレイルの状態と予防について解説!

高齢者のフレイルとは?フレイルの状態と予防について解説!

最近「フレイル」という言葉が広まりだしたことをご存知でしょうか?特に高齢者のフレイルについて注目が集まっています。今回はフレイルという言葉の意味と状態、フレイルの予防について解説します。

そもそもフレイルとは何か?定義と語源について

フレイルとは「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により生活機能の維持向上が可能な状態像」と定義されています。

簡単に言えば「年を取ることで心身機能が衰え、生活がしにくくなっているが、適切な関わりや支援により今までの生活を取り戻すことが出来る状態」と言えます。

フレイルは英語の「frailty(フレイルティ)」が語源となっています。日本語に訳すと、「虚弱」「老衰」「脆弱」などになります。これらの言葉は、一度なってしまうと元には戻れないイメージが強いため、日本老年医学会は、正しく介入すれば戻れることを強調するため、「フレイル」と日本語訳を共通することにしました。

フレイルは高齢者が要介護状態になる原因の一つであり、正しい関わりと支援により、予防・改善する必要があります。

フレイルの基準 5つの内3つ以上当てはまるとフレイル!?

フレイルの基準には様々なものがありますが、多く採用されている基準をご紹介します。以下の5項目の内、3項目以上当てはまるとフレイル、1・2項目当てはまるとフレイルの前段階(プレフレイル)と判断されます。

  1. 体重減少:体重を落とそうとしているわけでもないのに、1年間に4.5㎏以上、または体重の5%以上の体重減少(例:体重60㎏なら3㎏以上の体重減少)
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3~4日以上感じる。または「訳もなく疲れたような感じがする」
  3. 歩行速度の低下:5m歩くのに5秒以上かかる場合。横断歩道を青信号の内に渡りきれるか
  4. 握力の低下:利き手で男性だと26㎏未満、女性で18㎏未満
  5. 身体活動量の低下:軽い運動や体操、スポーツや農作業を1週間に一度もしていない

他にも『基本チェックリスト』や「指輪っかテスト」と「イレブンチェック」で構成される『簡易チェック』、身体面や口腔機能、社会面、精神面を詳しく評価できる『総合チェック(深堀りチェック)』があります。

フレイルになる原因

フレイルは、加齢に伴う心身の変化と、社会的・環境的な要因が合わさり起こります。

  • 加齢に伴う活動量の低下と社会交流機会の減少…外出する機会が減り、家にこもりがちになる。
  • 身体機能の変化…歩行スピードの低下等
  • 筋力の低下
  • 認知機能の低下…物忘れなど
  • 易疲労性(疲れやすいこと)や活力の低下
  • 慢性的な管理が必要な疾患(呼吸器、心疾患、抑うつ症状、貧血等)にかかっていること
  • 体重減少
  • 低栄養…食事量の減少や、食べたり飲み込む機能が低下し吸収されにくくなる
  • 収入、教育歴、家族構成など

フレイルには3つの側面があります

  1. 低栄養や転倒を繰り返すこと、食べたり飲み込んだりする機能が低下すること等の身体的側面
  2. 知機能の低下や意欲・判断力の低下、抑うつ等の精神的側面
  3. 家に閉じこもりがちになり、他者との交流の機会が減少する社会的側面

これら3つの側面が関わり合い、フレイルの状態が発生・進行していきます。

フレイルの治療・予防 フレイルにならないためには?

ここまでフレイルの状態や原因を解説しましたが、フレイルを予防するためには身体的・精神的・社会的側面3つの側面からアプローチする必要があります。

身体的側面へのアプローチ

持病のコントロール

慢性的な管理が必要な疾患がある場合は、まず持病をコントロールする必要があります。

運動療法

個々の状態にあった運動療法が必要です。筋力が低下している方が、急に立ち上がったり、無理に歩行しようとすると転倒や骨折を起こす危険があります。そのため医師や理学療法士等のリハビリ専門職と相談し運動を行う必要があります。比較的安全で手軽に行える運動としては、スクワット上体起こしランジ等が挙げられます。

スクワット

両足を肩幅に開いて立ち、椅子の背や机などを持ちます。背中が丸くなったり、かかとが浮かないようにお尻を下にまっすぐ落とします。この時、曲げた膝がつま先より前に出ないよう注意します。膝を90°ほど曲げ、戻します。「1・2・3・4」で膝を曲げ、「5・6・7・8」で膝を伸ばします。10回を1セットとし、1~3セット行います。

上体起こし

両膝を立てて仰向けに寝ます。両手は頭の後ろで組むか、お腹の上で組みます。その後おへそを覗き込むように頭を持ち上げます。首だけ曲げないように顎を引いた状態で頭を持ち上げます。お腹に力が入っていることを意識しながら10回を1セットとし、1~3セット行います。

ランジ

立った状態で腰に手をあて、片足を前に出し、膝を曲げて体重をかけます。その後ゆっくりと元に戻します。足を入れ替えて交互に10回行います。10回を1セットとし、1~3セット行います。横にふらついたり、転倒が心配な方は壁際や机の近くで行い、ふらついた時に支えがある状態で行って下さい。

栄養療法

運動療法と合わせ、栄養療法もセットで行う必要があります。低栄養状態で運動を行っても、筋肉を傷つけるだけで回復しない為筋肉が付きません。また筋肉が付かないため動作がしにくくなり、体を動かす機会が減り食欲がわかず、低栄養状態を助長してしまいます。食事は以下ことを心がけて摂取します。

  • 1日の適切なエネルギー量の食事を、1日3回に分けて摂ること:高齢者の男性だと1850~2500キロカロリー、女性だと1500~2000キロカロリーです。
  • 主食、主菜(肉・魚・大豆製品)、副菜(野菜・キノコ・海藻類)、牛乳・乳製品、果物をバランスよく摂取すること
  • 筋肉の素となるたんぱく質(肉、魚、大豆製品)と、骨を強くするカルシウム(牛乳、乳製品、小魚)を含む食品を積極的に取ること
  • 十分な水分を摂ること:特にフレイルになる方は、1日に必要なエネルギー量が足りていない、たんぱく質・カルシウムの摂取不足、水分摂取量が少なく脱水傾向であることが多いため、注意が必要です。

口腔機能のケア

加齢とともに噛むことや飲み込むこと等の口腔の機能が低下すると、固い食材が食べられなくなったり水分でむせたりすることがあります。定期的に歯科受診し、口腔機能の低下を予防すること、かみごたえのある食材を選んでよく噛んで食べることを意識しましょう。口腔機能が少し低下してきている状態を「オーラルフレイル」と呼んでおり、早い段階での口腔機能の維持・改善が重要とされています。口腔機能の維持・向上のために「口腔の体操」、「唾液を出しやすくするマッサージ」等の方法の他、「歌を歌う」「友人や家族とおしゃべりをする」、「姿勢よくよく噛んで食べる」等を意識して行うことも有効です。

精神的側面・社会的側面へのアプローチ

身体的側面へのアプローチでは不十分な場合は、精神的側面や社会的側面へのアプローチが必要です。

食事を誰かと一緒に食べる

1人で食事をすると、食事の品数が減り、食材も偏りがちになります。またコミュニケーションをとる機会も減り、認知症状の進行や閉じこもりの原因ともなります。家族や友人と食事を摂るようにしましょう。また地域によっては地域住民と一緒に食事を摂る機会が設けられていますので、活用しましょう。

 

社会活動に参加する

高齢者は定年退職や収入の低下、子供の独立や親しい人との死別により社会的な役割の変化や喪失が起こります。そこから気力や活気を失い、家に閉じこもりがちになると生活範囲が狭まり、うつ傾向となり、活動量が低下し、食事量が減り…とドミノ倒しのようにフレイルが進行するきっかけとなります。自分が得意なこと・出来ることを見つけて地域のボランティア活動に参加することや町内会や老人会の中で役割を持つことは、フレイル予防の第一歩となります。

自分が・身近な人がフレイルかな?と思ったら 早めの支援で元気を取り戻そう!

以上フレイルの状態や予防について紹介しました。ここまでご覧いただき、「私はフレイルになっているのではないか?」「近所にいるあの人はフレイルなのでは?」と思った方は、主治医や、高齢者を支える総合窓口のような役割を果たす「地域包括支援センター」へ相談しましょう。フレイルは個人によって予防や治療方法が変わりますので、専門家に相談した上で早めの対応を心がけましょう。

参照:公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネットより

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