八木アナウンサーが発症した線維筋痛症とは?リハビリもするの?
先日フリーアナウンサーの八木亜希子さんが「線維筋痛症」であると発表しました。この線維筋痛症は治りにくく、重篤な病気の一つです。この記事ではこの線維筋痛症についての紹介と、リハビリでどんなことをするのか紹介していきます。
線維筋痛症ってどんな病気?
線維筋痛症とは全身性の慢性疼痛疾患であり、わずかな刺激でも痛みが生じる病気です。その痛みは一部分である場合や全身に広がる場合もあり、小さな痛みの時もあれば堪え難い激痛の時もあるなど波があります。中高年の女性に多い病気であり、原因がはっきりとしない不定愁訴であることが多いため更年期障害や自律神経失調症といった病気と間違えられることも少なくありません。
検査をしても原因が特定できないことがほとんどです。特徴として体全体に18箇所の特徴的な圧痛点があること、痛みが3ヶ月以上続くこと、また脳への血流が悪くなっていることがあり、それらの症状と経過から線維筋痛症であると診断が下されます。
どうして線維筋痛症になるの?
詳しい原因はほとんど解明されていません。身体的にも精神的にも大きな負担がかかっていることが原因ではないかとされています。上述した通り、脳への血流が悪くなっているということが線維筋痛症患者の共通点であるため、身体的・精神的ストレスによって脳への血流が悪くなっていることが原因ではないかと推測されているのです。
ストレスがかかるとコルチゾールと呼ばれるホルモンが分泌されます。コルチゾールが多くなるとこのコルチゾールを減らそうとして、様々な防御反応が見られるようになり結果としてコルチゾールが減少していくようにうまく調整されています。しかし、長時間ストレスに晒され続けるとコルチゾールが減りません。コルチゾールの量は脳の視床下部というところでコントロールされているのですが、大量のコルチゾールはこの脳の視床下部の働きを鈍らせてしまいます。結果脳への血流も弱くなってしまいます。こういった形で線維筋痛症は発症するのではないかと考えられています。
どんな症状があるの?
慢性的な痛みが全身に続きます。痛みが常に付きまとい、わずかな刺激でも痛みが出るのが特徴です。ここでいうわずかな刺激とは少し皮膚に触れただけ、太陽の光に当たっただけ、火に近づいただけなど、普段何気なく行っていることが痛みのトリガーになってしまう恐ろしい病気です。
また、線維筋痛症はうつ病も併発しやすいことで有名です。上述した通り、四六時中痛みを感じやすい状態となっているので、肉体的にも精神的にも大きなストレスがかかります。ストレスがうつ病の大きな原因の一つです。線維筋痛症を発症した方全てがうつ病になるわけではありませんが、何もない人と比較するとうつ病になりやすいのは事実です。
線維筋痛症の治療は?
主には薬物療法がメインとなります。現在、線維筋痛症に対しての特効薬はなく、痛み止めで痛みを和らげる対症療法となります。ここでいう痛み止めとはロキソニンやセレコックスといったNSAIDsと呼ばれる薬ではなく、リリカやトラマドールというオピオイドという薬が処方されることが多くなります。これらの薬は神経痛などによく効く薬ではあるのですが、眠気や吐き気といった副作用が出やすいことでも有名な薬です。そのため、処方される際には注意深く処方されます。
線維筋痛症は治らない?
線維筋痛症は指定難病には入っていないものの、治りにくい難病として有名な病気です。完治することは難しい状況が続いており、痛みを感じにくい状態を作っていくことが最終目標となることが多いです。そのため、線維筋痛症友の会といったように、全国に支援活動を行なっている団体もあるほどです。それだけ厄介な病気と言えます。
線維筋痛症のリハビリはどんなことをするの?
線維筋痛症では上述した通り、コルチゾールというホルモンのバランスが崩れることが引き金の一つと考えられています。このコルチゾールは運動によって消費され、運動をすることでコルチゾールの体内量の低下やコルチゾールへの耐性、つまりストレスへの耐性がつくと言われています。そのため線維筋痛症のリハビリではストレスが発散できるような運動をしていくことがメインとなります。
注意していかなければいけないことが負荷量です。いくら運動が良いからといって無理な運動をしてしまえば痛みを感じやすく、それがストレスとなります。ストレスを発散するための運動でストレスを感じてしまっては本末転倒です。また、ワークアウトと呼ばれる限界の状態まで持っていかないことが重要となります。筋トレであれば限界の30〜40%程度、有酸素運動であれば息が上がらない程度にとどめておくなど、楽にできるレベルの運動を繰り返していくことが重要となります。
また、運動だけでなくマッサージのような手技も有効です。線維筋痛症では痛みによって筋肉がガチガチに固まってしまいやすくなります。ガチガチに固まった筋肉は運動能力の低下を招き、運動が遠ざかる原因になってしまいます。そのためマッサージなど心地よく筋肉をほぐしていくことで運動しやすい体づくりを行い、運動をしていく下地を作っていくことも重要です。ただし、線維筋痛症は刺激に弱くなっているためマッサージが痛みにつながる可能性もあります。力の強さに注意して行いましょう。
まとめ
線維筋痛症は難病であり、完治が困難な厄介な病気です。しかし、薬やリハビリで症状の緩和は可能であることが近年わかってきています。八木アナウンサーが復帰することも不可能ではないはずです。復帰を待ちながら、しっかりと応援していきましょう!