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【G線上のあなたと私】松下由樹の母親の脳卒中後遺症は、生活にどれだけ不自由があるのか?? 

【G線上のあなたと私】松下由樹の母親の脳卒中後遺症は、生活にどれだけ不自由があるのか?? 

ドラマ「G線上のあなたと私」にて、主婦である北河幸恵(松下由樹)の同居の母親が、脳卒中後遺症で在宅生活をおくっていました。 

本編ではありませんが、松下由樹さんの様々な日常の葛藤が描かれていました。 

ドラマであったように、脳卒中を発症されてから身体障害が残り、その状態で生活を過ごしていく中で、どれだけ不自由があるのか? 

ドラマの描写を参考に紹介していきます。 

脳卒中とは? 

病態には、脳の血管が詰まる“脳梗塞”、脳の血管が出血する“脳内出血”、くも膜という脳の表面と空間の間で出血する“くも膜下出血”があり、これらを総称して脳卒中と言います。 

脳卒中には様々な種類がある?脳卒中の種類について知ってほしいこと

脳卒中後遺症とは? 

脳内出血や、脳梗塞直後の症状として、片側の腕の脱力呂律困難などが良く挙げられます。 

くも膜下出血直後では、ハンマーで殴られたような強い頭痛があるのが特徴的です。 

脳卒中後遺症とは、これらの症状が改善するも、脳機能の一部が損傷してしまい、身体機能障害が残った病態です。 

ドラマでの描写 

では実際に、作中にあった脳卒中後遺症と思われる動きを以下に挙げていきます。 

  1. 普段の姿勢や動く際に、右肘が曲がり手を握りこんでいる 
  2. 食事の際にフォークを使用 
  3. 右の腕を引っ張ると痛みが生じている 
  4. 右の足首をやや床に擦るような歩き方をする 
  5. 歩く際や階段を昇り降りする際に、付き添いが必要 

これらは一般的な方の生活と比較すると、逸脱した動作となります。ではこれらはどういった事が起こっているのでしょうか? 

描写を元に症状を解説 

ドラマ①〜⑤の動きを解説していきます。 

ドラマ①、② 

これは痙縮と言われます。 

脳からは、肘を曲げる・伸ばすといった筋肉を動かす指令が神経を介して出しています。 

この機能が障害されると、筋肉を動かす指令が上手く伝わらなくなります。特に上肢では曲げる指令が過度に伝わることが多く、ドラマのように右肘を曲げ、手を握り込む姿勢となる方が多いです。 

とても特徴的なため、医学的にはウェルニッケマン肢位と呼ばれます。 

●上肢の痙縮が生じると 

  • 腕が引っかかり服が着づらくなる(重度であれば、ボタンシャツなどしか着れない) 
  • 腕が上がらないため、洗濯物や高い位置の物を取ることが困難 
  • 作中であったように指先が伸ばしづらくなるため、箸で食事を摂ることが困難 

上記のように生活に支障が出る形となります。 

ドラマ③ 

これは神経因性疼痛と言われます。 

人の身体が痛みを感じるのは、手足などの末梢で感じる一次的な痛みと、その痛みの情報が脳まで伝達されて痛みを感じる二次的な痛みに分かれます。 

脳卒中後遺症の場合、二次的な痛みが障害されます。 

末梢からの感覚には痛み以外に、触覚温度覚振動覚といった感覚情報も含まれています。 

本来であれば、この情報は脳の中で分類されて処理されますが、神経因性疼痛の場合、これらの情報が全て処理されずに伝わってしまいます。 

つまり、身体を触っただけで痛い(触覚)、冷たいものが痛い(温度覚)、身体を揺すられると痛い(振動覚)といった症状が生じます。 

作中での痛みは、触覚か振動覚と痛覚が同時に伝わり、痛みが強くなっていたのだと考えられます。 

ドラマ④、⑤ 

これは運動麻痺と言われます。 

脳の運動を司る部分が障害され、意識的に身体が動かせなくなります。 

前述した痙縮と似ていますが、何もしていなくても身体を動かせないのが痙縮、意識的に動かせないのが運動麻痺といった病態です。 

また脳卒中では、左右どちらかの手足に運動麻痺が残る事が多く、医学的には“片麻痺”や“半身不随”と言われます。 

●作中にあった症状 

すり足歩行 

典型的な症状で、足首を上に上げる筋肉が動かせなくなるケースがとても多いです。 

そのため、足を前に出そうとしても、つま先が下を向いたままになります。 

そのまま足を出すと、床に引っかかりこけてしまうため、足が下を向かないでいいようにすり足をする。といった歩き方をします。 

『歩行・階段での介助』 

麻痺側は、バランスを崩しこけそうになった際に、すぐに手や足が出せません。 

そのため、本来なら手足で守れる頭や心臓といった命に関わる部分を守る事が困難となります。 

また動作時に膝周りの筋肉が使えなくなり、膝が急にガクッと崩れる“膝折れ”と言われる症状が起きる方もいます。 

こういった症状があるため、動作時には介助または付き添いが必要となるケースが殆どです。 

ドラマではなかったその他の症状 

脳卒中後遺症は、ドラマでは描かれなかった様々な症状が他にも生じる事があります。 

簡単に紹介していきますが、いずれも生活に支障をきたす可能性の高い障害となります。 

・認知症 

一般的な認知症と違い、所々記憶が障害される。まだら様と言われる。 

・感覚障害 

触った感覚や、痛みの感覚自体が感じづらくなる、または完全に分からなくなる。 

・言語障害 

正確な言葉を出す、思い出すなどといった言葉に関する機能が障害されます。 

・嚥下障害 

飲み込む機能が障害され、固形物が摂取困難となる。刻んで食べるまたは、ペースト食と言われる液体の食べ物しか食べられなくなる。 

・高次脳機能障害 

目の前にある物の名称や、使い方が分からなくなる。重度になると、ボールペンで歯を磨くなどがあり、本人はその病態に気付かない事が多い。 

まとめ

脳卒中後遺症の方の不自由さを、ドラマを元に紹介しました。 

もちろん、軽症の方や重症でも様々な福祉サービスを利用し自立している方はたくさんいらっしゃいます。 

脳卒中後遺症の方は、身近にはいないかもしれません。 

ただどこかで関わる機会があれば、ドラマの内容をイメージしながら、この記事を思い出して頂けると幸いです。 

 

(参考文献)

脳卒中最前線:福井 國彦、藤田 勉 

絵で見る脳と神経:馬場 元毅 

ここがポイント!脳卒中の理学療法:河村 廣幸 

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