こだわりが強い個性的なうちの子、発達障害の診察ってどんな感じ?【体験談】
親としてこどもと過ごす日々は、大きな喜びもありますが試行錯誤の連続です。
親も最初から育児に自信があるわけではなく、情報に頼ります。
先人の知恵、そしてインターネットや育児本からの情報があふれ、どれが正しいのかわからなくなります。
通常の育児でも戸惑うのに、自分のこどもに「育てにくさ」を感じたとき、他の子供との明らかな差を感じたときに、親の心には不安や葛藤が生まれます。
筆者は自閉症スペクトラム、知的障害、発達協調性運動障害を併せ持つ男児を育てています。
診断を受けるまで、診断を受けてからの経験をふまえ、お子さんに不安のある方へ励みになればと考えます。
わが子が他の子と違う
わが子はよく言われる多動で落ち着きのない子供でした。1歳半検診で言葉の遅れを指摘されたものの、1歳7か月くらいで2語文くらいは話すようになり、トイレトレーニングも目立った遅れがありませんでした。
2歳位までは男の子は落ち着きがないくらいはあることだと、あまり気に留めていませんでした。
3歳児クラスになり、他の子は先生の言うことを聞いて座っていられるのに、うちの子だけじっとしていられず、なだめられたりしながら、行事にどうにか参加している状態でした。他の子と同じレベルで遊べなくなってきたのも、3歳くらいから目立ってきました。
連れ出した外出先で音に困った
2歳を過ぎたころ、床屋へ連れ出しました。
大きな理容室で、椅子に座り髪を切ろうとした瞬間、息子は大パニックを起こし、絵本を読んだり、なだめたりしても店中に響き渡る声で、終始泣き叫んでいました。
3歳位にはある程度尿意、便意もコントロールできるようになってきたのですが、トイレにいられないことがありました。水の流れる音が苦手でした。だから、トイレの流水音に耐えられず、耳を抑えて飛び出してくるのでした。
洗濯機の脱水の音、ドライヤーの音、掃除機の音などは、特に苦手でした。
ほかの子と違う大きなこだわり
顕著にこだわりが見られたのは、エレベーターが大好き。
発語は少し遅いくらいでしたが、1歳半を過ぎて会話もある程度理解していましたが、特に大好きだったのは、デパートのエレベーターで「次は〇階です」とアナウンスがあるとき、それを終始ベビーカーの上で真似していたことは、当時ほほえましく思ったものでした。
小さいときは、ユニークな我が子を可愛いと思っていたのですが、だんだん尋常でないエレベーターへのこだわりが3歳、4歳になると心配になりました。
どんな施設へ行ってもエレベーターに乗りたがり、乗らなければ不機嫌になるため、外出がしづらく、ストレスになってきました。
発達障害の診断を受ける決心
診断を受けるべきか、作業療法士である私は悩みました。
少しくらいの強い個性の子どもなら、自分でどうにかできるという変なプライドもあり決心がつかなかったこともありました。
しかし、結果から言うと早く診断を受けておいた方がよかった。
診断を受けることで、問題点がはっきりし、さらに方向や対策が明確になるからです。
親もペアレントトレーニングを受けられることにより、子どもとの関わり方を学ぶことができるからです。
発達診断の予約
最近はメディアでも発達障害を啓発する番組もたくさんあり、社会の関心は非常に高まっています。
それとともに、発達障害の診断を予約するのに、数か月待ちは当たり前です。
お子さんの発達障害が気になったら、できるだけ早く診察を予約しましょう。
療育は診断がつかなければ始まりません。
そして、親に対してのペアレントトレーニングで「子供に対する向き合い方」や、生活の中で工夫できることを教えてもらうことができます。
我が子は4歳で診察の予約をしましたが、7か月待ちで診断を受けたのは5歳。
この現状は改善されるべきだと思いますが、地区により数か月待ちの予約は今でも変わらないと聞きます。
療育と日々の生活
我が子が通い始めたリハビリは、感覚統合療法を取り入れた遊びの中で、体の使い方を覚えていくものでした。
とても楽しそうにリハビリを受け、その間は笑い声しか聞いたことがありません。痛みや苦痛を伴うものは、一切ありませんでした。
筆者は成人や高齢者のリハビリに従事しており、発達障害のリハビリは数十年前には普及していなかったため、わが子で始めて触れたようなものでした。
ですから、楽しそうな感覚統合療法のリハビリを家族としてみる経験ができ、非常に興味深かったです。日々の生活にも行かせたらと思い、短い研修を受けたこともあります。
小学校へ入るまでに、クリアした方がいいことはたくさんあります。
じっと座る集中力が身につくか、鉛筆を持てるか。
成長期で脳が柔らかい間こそ、治療効果も出やすいからです。
鉛筆を持つ練習をするだけじゃなく、体のバランスと指先器用さは密接に関係しているので、大きな動きと細かい動きを遊びの中で組み合わせていきます。
療育では、「健常児を目指す」のではなく、最大限に持っている可能性を引き出すことです。
療育の効果は低年齢ほど大きい
療育を受け訓練場面に付き添うことが増えると、息子のぶきっちょな動作が目に見えてスムーズになっていくのがわかりました。
療育の先生は、「がんばって○○しなさい」と強制させることはなく、遊びの中に息子にとって練習が必要な動作を含めることで、楽しそうに進められました。
療育を待機しているケースも多数あり、わが子は小学校へ上がると同時に療育は終了となりました。
そういう事情もあるため、発達検査や診察はできるだけ早く受ける方が望ましいです。
療育の要素を取り入れた 日常生活での工夫
担当の療法士には日常生活で工夫できることや、遊び方を教えてもらいました。
息子は五感の中で、目から入る情報(視覚)よりも耳で聞く音(聴覚)の方が入りやすい特徴がありました。視覚優位のお子さんももちろんあるので、特徴に合わせて療育したり、日常のアドバイスをもらえます。
我が子の場合、服の前後ろや、裏返しになって正しく着ることが難しく、なかなかスムーズに合わせることができませんでした。
発達運動性協調障害の「ぶきっちょさ」や、体の感覚の幼さがはっきり表れています。
普通は着心地が悪くて前後ろに着ていることを気づきますが、感覚の鈍さがあり、着心地の悪さを感じることがありません。
そういったとき、「鏡を見る」とか、「紙に前後ろを確認すると促すように書いて貼る」、などのアドバイスをもらいました。しかし視覚情報に頼る支援をしても有効でない場合もありました。
療育ではよくボールプールに入って遊びますが、「体に触れるものを通して、自分の体の内側と外側を認識する」といった要素が入ります。体の感覚をしっかり入れることができます。
まとめ
子どものこだわりや自己主張、多動が気になった時、親として何をしたらいいのか、どこへ相談したらいいのか、とても戸惑います。インターネットを頼りにして、あふれる情報の何を信じたらいいのかわからなくなることもあります。
受診するために、決心が必要かもしれませんが、1日も早く受診しましょう。
診断がつこうとつくまいと、お子さんが変わってしまうわけではありません。
お子さんに障害があることを受容するのも、ハードルがあるかもしれません。
しかし、問題点が明らかになり、方向性を見出しやすくなります。
ご家族で意見が分かれたり、祖父母や周辺の意見が入ることもありますが、まず親御さんが相談できる機関を見つけましょう。
小学校へ上がるまでが、最も重要です。
障害を受け入れると、「なぜできないの」という思いが、小さなことでも「できるようになった」喜びを大きく幸せに感じられます。