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小児期の発達において重要な原始反射とはどういった反射なのか?

小児期の発達において重要な原始反射とはどういった反射なのか? 

原始反射というと、なんだか難しそうなイメージがあって実際どのような反射なのかよくわからないという方が多いのではないでしょうか。 

人は生まれてから歩き始めるまでに様々な発達を経て成長していきますが、その中で原始反射も正常発達において大変重要な役割を占めています。 

そこで、今回は乳幼児期における原始反射の役割について考えていきたいと思います。 

原始反射とはどういった反射なのか? 

原始反射とは簡単に言うと、出生してから歩き始めるまでの間に人が成長していく過程の中で現れる反射的な身体の動きのことを指します。 

この反射は歩き始めるまでの新生児期によくみられる反射ですが、実はお母さんのお腹の中にいるときである胎児期においても見られる反射です。 

つまり出生前の段階からすでに存在している反射で、反射によっては長期間持続している反射もあります。 

その種類には様々な種類がありますが、主に出生から数ヶ月までの早い時期に消失していきます。 

なぜ原始反射が見られるのか? 

では、なぜ胎児期から出生して数ヶ月までの間に原始反射が見られるのでしょうか。 

人の新生児は、他の動物と違い出生してからすぐに立って歩けるようになるわけではありません。 

しかも、歩き始めてからもすぐに自立して一人で生活できるわけではありませんし、自立するまでの間に様々な経験や周囲からの支援が必要になります。 

歩き始めるまでの約1年間は特に親の介助・支援が必要で、新生児自身が重力下で自発的に動くことが困難です。 

実はこの長い期間をかけて運動発達をしていくことが重要で、人が他の動物と比べて特に大脳が発達しているのはこのように長期間をかけて様々な運動経験を積んでいることが要因なのです。 

ただ、胎児期や出生直後は新生児も自発的に動くことが困難なので、原始反射により胎児期や新生児期の赤ちゃんがまだ十分に自身で身体を動かすことができない時期に、無意識に身体を動かすことで運動経験を増やすことができます。 

そのため、胎児期や新生児期にのみ原始反射が見られ、徐々に随意的な身体の動きが見られるようになってきたら消失していくというわけですね。 

また、原始反射は脳の中でも生命中枢をつかさどる脳幹という原始的な部分が作用することで起こる反射なので「原始反射」と呼ばれるようになったと考えられています。 

どのような反射が原始反射なのか? 

原始反射にはいくつかの種類がありますが、以下にその特徴と消失時期についてまとめていきたいと思います。 

モロー反射 

この反射は出生直後からすぐに見られる反射で、大きな音や強い光の刺激などに反応して両手・両足を広げるようにする反射です。 

いわゆるびっくり反射と言われる反射ですが、大きなストレスなどに対して防御反応を示すことで、徐々にそういったストレス(大きい音や強い光刺激など)に慣れていくことが可能になります。 

消失時期生後3~4ヶ月頃です。 

把握反射(手掌把握反射・足底把握反射) 

これも新生児期から見られる反射で、新生児の小指側から手掌にかけて刺激を入れていくと、自然に新生児が握り返してくるといった反応です。 

手は物を掴んだり操作したりなどの巧緻的な動作を行わなければなりませんが、新生児の頃はまだ手掌の刺激に慣れておらず十分に手としての機能が発揮されません。 

そのため、把握反射があることで強制的に手掌の刺激に慣れていくことが出来るようになり、次第に上肢での活動が巧緻的に行うことが出来るようになります。 

また、手掌だけではなく足底部分も刺激が入ることで握り込むような動きが出現します。 

これも手掌と同じような作用があり、新生児期の頃は足底への刺激が十分ではなくそのままにしていると歩き始めることが遅れてしまうので、足底把握反射があることで徐々に足底への刺激に慣れていくことが可能になります。 

いずれの反射も生後3~4ヶ月頃に消失します。 

ギャラント反射 

ギャラント反射とはどのような反射かというと、産まれたばかりの赤ちゃんをうつ伏せの状態にします(産まれたばかりの赤ちゃんは頭部のコントロールが十分ではないので気をつける必要性があります)。 

その後、背骨が見えると思うので背骨の両側のふくらんだ筋肉(脊柱起立筋)をピンなどでこすることでこすった側の背中がピクッと力が入る反射です。 

これは、左右への寝返りのときに重要な背筋の動きや頭部のコントロールを誘発するために重要な反射です。 

この反射があることで、自然と頭部のコントロールや左右背筋の動きが促通されていきます。 

消失時期生後3ヶ月から4ヶ月頃です。 

対称性緊張性頸反射(STNR) 

名前の通り頸部(頭部)に対して対称的に身体が動く反射です。 

うつ伏せや四つ這いで頭部が挙上されると上肢が伸展して下肢が屈曲し、逆に頭部が下がると上肢が屈曲して下肢が伸展する反射です。 

この反射は他の原始反射と違い、頭部のコントロールが可能になった後の生後6ヶ月頃から徐々に見られるようになり、生後11ヶ月頃に見られなくなっていきます。 

生後6ヶ月というと、正常運動発達の中では寝返りが可能になってうつ伏せの姿勢で過ごすことが多くなりはじめる時期です。 

うつ伏せの姿勢は、赤ちゃんがはじめて重力に逆らいながら意識的に動き始める姿勢ですので、STNRは視覚の発達のためにもとても重要な役割を果たすとされています。 

ただ、消失せずに残ってしまうと物を目で見て捉えることが難しくなってしまうので視覚機能が発達しにくくなってしまいます。 

非対称性緊張性頸反射(ATNR) 

身体を中心から左右半分に分けたときに左右の上肢・下肢が別の動きをしてしまう反射のことです。 

ATNRは無意識に出現する反射ですので、自分で意図して身体を動かすということができません。 

例えば、頭部が左方向に向くとすると、その向いた方向(左側)の上肢と下肢は伸展(突っ張る)します。 

逆に頭部が向いていない方向(右側)の上肢と下肢は屈曲(曲がる)します。 

これがATNRという原始反射で、頭部が逆側を向いた場合も向いた方の上肢と下肢が伸展し、向いていない方の上肢と下肢は屈曲します。 

この反射は、出生直後から見られ始める反射ではなくお母さんのお腹の中にいるときから出現する反射で、在胎18週ごろから出現生後4ヶ月ごろに徐々に消失していきます。 

なぜ在胎期間中に反射が見られるのかというと、無意識に身体運動が起こることで身体運動が発達しやすくなるためです。 

お母さんのお腹の中にいる時からATNRがあるおかげで、上肢や下肢を子宮内で無意識に活発に動かすことが出来るようになり、お母さんのお腹を胎内から触ったり蹴ったりすることが出来るというわけです。 

緊張性迷路反射 

この反射は頭部の動きに反応して身体が動く反射です。 

主に前庭感覚に関連している身体のバランス感覚を培ったり、物を空間で把握したりといった空間認知能力に影響します。 

人は頭部を空間で保持することで座ったり、立ったり、歩いたりすることが出来るようになりますが、この反射により頭部を空間で保持する経験を積むことができます。 

消失時期3~4ヶ月ごろです。 

まとめ 

原始反射には様々な反射がありますが、その作用は出生後すぐの重力下における自発的な運動が困難な時期に、無意識に身体運動を誘発することで多様な運動を経験しやすくするといった作用があります。 

そのため、原始反射は人の発達において必要不可欠な反射であり、どのような反射なのか理解することで正常発達をより詳細に知ることが出来るようになると思います。 

原始反射を理解することで正常発達の知識をより深めていきましょう! 

 

(参考文献 )

正常発達 第1版 脳性まひ治療への応用 

正常発達 第2版 脳性まひの治療アイデア 

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