小児

子どもの発達においてなぜうつぶせは大事なのか?うつぶせの特徴についてもっと考えよう!

子どもの発達においてなぜうつぶせは大事なのか?うつぶせの特徴についてもっと考えよう! 

人の赤ちゃんは、生まれてすぐにいきなり歩きはじめるわけではなく1年近くかけてゆっくりと様々な姿勢を経験しながら歩行を獲得していきます。 

これは他の動物にはない長期間に及ぶ運動発達で、人以外の多くの動物は生まれてすぐに自身で動いて移動できるようになることがほとんどです。 

人の赤ちゃんは、生まれてから1年経過するまでは様々な姿勢を経験しますが、その中でも「うつぶせ」は発達においてとても重要な位置を占める姿勢です。 

今回は、人の赤ちゃんの運動発達において重要な姿勢であるうつぶせについて考えていきたいと思います。 

うつぶせはいつごろからできるようになるのか 

人の赤ちゃんは生まれてすぐに自身の思ったように身体活動を行えるようになるわけではなく、しばらくは限られた姿勢で身体運動を行います。 

生まれるまでの胎内(母親のお腹の中)にいるときは、自由に色々な姿勢をとることができ、身体運動も様々な活動を行うことができますが、出生すると地球の重力下にさらされるので思うように動くことができません。 

そのため、生まれてすぐの赤ちゃんは数ヶ月間仰向けの姿勢でバタバタと手足を動かすことしかできません。 

このままの状態ではうつぶせになることは難しいのですが、仰向けの姿勢で手足を動かすことで重力下の環境に慣れてくるので、やがて寝返りが出来るようになりうつぶせの姿勢で過ごすことが出来るようになってきます。 

ただ、うつぶせが出来るようになるにはいくつか条件が必要で、まずは頭を空間で保持出来るようになること、そして両手の動作が活発になることが必要です。 

生まれてすぐの頃は頭も両手も思ったように動かすことができませんが、生後3ヶ月から4ヶ月頃になると頭を空間で保持することが出来るようになり、両手でおもちゃを持って遊ぶことも出来るようになります。 

うつぶせが出来るようになるのは寝返りが可能になる生後5ヶ月頃から6ヶ月頃で、この頃になるとうつぶせの活動が活発になってきます。 

なぜうつぶせになる必要があるのか 

では、なぜ人の赤ちゃんは運動発達においてうつぶせになる必要があるのでしょうか? 

実はうつぶせにならなくても歩けるようになることは可能で、実際うつぶせの延長であるずり這いや四つ這いを経験しなくても歩けるようになる子どもはたくさんいます。 

しかし、うつぶせを経験することで運動発達が促されることは確かだと思います。 

以下にうつぶせになることで発達にどのように良い影響があるのかまとめていきたいと思います。 

仰向けでは経験できない身体活動を経験することが出来る 

生まれてすぐの赤ちゃんは、仰向けで活発に手足を動かします。 

一見すると仰向けの状態でも身体活動は起こるのでその後の運動発達が促されていくのではないかと思うかもしれませんが、仰向けの状態では手足で身体を支える経験が少なくなってしまいます。 

うつぶせの姿勢は頭を挙げなければ周囲を見渡すことができませんし、手足を思ったように動かすことも困難です。 

そのため、うつぶせの姿勢で動こうと思ったら手足で身体を支えながら頭を空間で保持する必要があります。 

このような経験を通してどのようにして重力下で動けばよいのかを学習することができます。 

体幹部分が鍛えられる 

これも仰向けの姿勢のほうが腹筋が鍛えられるのではないかと思うかもしれませんが、うつぶせの姿勢から移動を行い始めると、仰向けの姿勢よりうつぶせの姿勢のほうが体幹筋の活動性が促されます。 

具体的にはずり這いや四つ這い運動を行うことで、仰向けの姿勢では経験できなかった腹筋と背筋のバランスのとれた筋活動が促されやすくなります。 

このバランスのとれた体幹筋の活動により、後々立ったときや歩き始めたときに身体活動が行いやすくなります。 

呼吸が楽になる 

生まれて間もない頃の頭を空間で保持することが出来ない時期は、うつぶせになることは呼吸が困難になってしまい危険ですが、頭を空間で保持することが出来るようになってくると、逆に呼吸が楽に行えるようになります。 

私達は仰向けのほうが呼吸が楽に行えると思ってしまいがちですが、仰向けの姿勢よりうつぶせのほうが肺への圧迫が少なくなり、肺への空気の循環も良くなります。 

また、よだれなどの唾液によるムセも自然となくなるので、うつぶせで過ごしたほうが楽に過ごすことが出来るようになってきます。 

精神的に落ち着きやすくなる 

これは賛否両論あるのですが、本来人を始めとした動物はうつぶせの姿勢で過ごすように発達してきた経緯があります。 

そのため、人もうつぶせのようにお腹を下に向けて過ごしたほうが遺伝的に落ち着く姿勢であると言われています。 

仰向けの姿勢は、内臓部分が丸出しの状態なので他の動物にとっては命が危険にさらされる可能性がある姿勢ですが、人は他の動物よりも知的に発達してきたおかげで仰向けの姿勢でも安心して過ごすことが出来るようになりました。 

つまり、仰向けの姿勢でも襲われる心配がなくなってきたということですね(例えば家という守られた空間で寝るなど)。 

ただ、やはりお赤ちゃんの頃はそういったうつぶせの遺伝的な影響が多くあるためか、比較的仰向けよりうつぶせのほうが落ち着きやすい傾向があるように思います。 

このようにうつぶせには様々な発達上における利点があります。 

うつぶせにおいて気をつけなければならないこととは? 

うつぶせは、赤ちゃんの発達においてとても重要な姿勢であり利点も多くある姿勢ですが、気をつけなければならないこともあります。 

まず、頭を空間(重力下)で保持することが出来ない時期はうつぶせを控えたほうが良いでしょう。 

ただ、うつぶせに絶対してはいけないというわけではなく、両親を始めとした保護者がしっかり見ている状態で短時間であればうつぶせにしても良いと思います。 

頭を空間で保持することが出来るようになる時期は、だいたい生後3ヶ月から4ヶ月頃ですがこの時期になるとうつぶせにしても赤ちゃんは自分の力で楽に呼吸を行うことができます。 

ただ、頭を自由に動かせるようになる時期であっても赤ちゃんによっては寝返りを行うことができないこともありますし、手で身体を支えることも難しいです。 

そのため、頭を空間で保持できるぐらい首がすわっているということ、そして手で身体を支えることができることの2点が確実にできていなければ、月齢でうつぶせが可能になる5ヶ月から6ヶ月頃であってもうつぶせは控えたほうが良いと思います。 

以前はうつぶせになることで窒息してしまうリスクが高いということがありましたが、今ではどちらかというとうつぶせを経験しないことによる運動発達の遅れのほうが問題になりやすい傾向があります。 

積極的にうつぶせをとることはかえって子どもたちの発達が促されやすくなるのです。 

まとめ 

人は2足歩行で実用的な移動を行う唯一の動物ですが、歩行を獲得するまでの運動発達においてうつぶせを経験しなくても歩行を獲得することができるのも事実です。 

そのため、必ずしもうつぶせを行う必要性はないかもしれませんが、うつぶせを行うことは人の赤ちゃんが運動発達を促進するためにとても重要な姿勢であることは間違いないと思います。 

うつぶせになることの利点として仰向けだけでは経験できない身体活動を促進することができます。 

うつぶせで経験した身体活動は、2足立位・歩行のために必要なバランスのとれた腹筋群と背筋群の働きを引き出してくれます。 

うつぶせになることとはどういった利点があるのか、またうつぶせの姿勢の特徴とはどういったものなのかということを理解して子どもの発達を見守っていきましょう。 

参考文献 

正常発達 第1版 脳性まひ治療への応用 

正常発達 第2版 脳性まひの治療アイデア 

子どもの理学療法 

-小児

© 2021 REHA BLOG Powered by AFFINGER5