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実は子どものときだけじゃない?大人のADHDとは? 

実は子どものときだけじゃない?大人のADHDとは? 

近年、発達障害という社会性情緒面コミュニケーション面などの障がいを抱える子どもたちが社会的に注目されるようになり、その対処法と関わり方について様々な情報が得られるようになってきました。 

ただ、こういった発達障害の疾患は最近になって急に見られるようになってきた障がいではなく、以前から症状が見られる方が存在していたけれども社会的に認知されていないために問題にならなかったという経緯があります。 

しかし、近年は発達障害の社会的な認識が深まってきたため、子どもの時からADHDの症状を抱えながらも大人になり、社会生活が困難になってしまういわゆる「大人のADHD」が問題になってきました。 

そこで今回は子どものときとは違った問題がみられる大人のADHDについて考えていきたいと思います。 

大人のADHDにはどういったタイプのADHDが多いのか? 

ADHDには3つの主要な症状が見られ、それぞれをタイプ別に分類されます。 

  1. 不注意型:課題に集中することができなかったり、片付けができなかったりといった症状が見られるタイプです。 
  2. 多動・衝動型:静かにしなければならない場面において走り回ったり、学校などで衝動的に行動してしまったりなどの症状が見られます。 
  3. 混合型:不注意型と多動・衝動型の両方の症状が混在しているタイプです。 

ADHDの症状は主にこの3タイプに分類されますが、大人になって問題になりやすいADHDのタイプは圧倒的に不注意型のタイプが多いのが特徴です。 

なぜ大人のADHDは不注意型が多いのか? 

大人のADHDの方に不注意型が多いのは様々な理由がありますが、一つは子どもの頃は症状が問題として現れにくいということが考えられます。 

子どもの頃は症状が問題として現れにくいのですが、ADHDの症状は子どもの頃から特性として持っており、学校生活などの集団活動においては目立ちにくい傾向があります。 

知的には他の子どもたちとそれほど変わらないことも多く、学業においても特別成績が悪いわけでもない場合もありますし、学校生活はあらかじめスケジュールが決まっているのでそれなりに過ごすことができる場合もあります。 

そのため、周囲の大人(ここでは両親や学校の先生など)が気づいていなかったり、あるいは気づいていてもそれほど問題視していなかったりする場合が多いので、学生の時期はそのままにしてしまう傾向があるのです。 

しかし、大人になって社会に出るようになると自分でスケジュール管理を行ったり、日常生活を自分でやりくりしたりしなければならなくなります。 

社会は学校という守られた環境ではないので、自分で考えて行動し生活していかなくてはなりません。 

こういったときに不注意型のADHDの方は、業務においてミスを連発してしまったりスケジュール管理ができなかったりなどの問題が出てきて、実は大人になって初めてADHDだったということが判明するケースが多いのです。 

不注意型が多い2つ目の理由として、多動の症状が大人になると収まってくるということがあります。 

多動の症状が収まる理由はよく分かっていませんが、混合型であったADHDの方が多動の症状が収まることで不注意型が目立ってしまうということもあるようです。 

こういった理由があって大人のADHDは不注意型が多いのですが、元々不注意型であった方が大人になって社会に適合することが難しくなるといったケースが多いのが特徴です。 

大人のADHDの症状とは? 

前述したように基本的には大人になると不注意型のADHDの症状が多くなります。 

具体的には以下のような症状が出現しやすくなります。 

  • 仕事において同じような失敗を繰り返してしまう 
  • 締切を守れない 
  • やるべきことを後回しにしてしまいそのやるべきことを忘れてしまう 
  • 忘れ物が多く、紛失も多い 
  • 業務の進行スピードが遅いまたは時間がかかる 
  • 遅刻や残業が多い

など 

大人のADHDの治療はどのように行うのか? 

大人も子どものときと同様に心理社会的治療と必要によって薬物療法を実施します。 

心理社会的治療は、環境調整ソーシャルスキルトレーニングを中心に実施します。 

ペアレントトレーニングのように両親に対応の仕方を学習してもらう必要性は低いですが、周囲の大人に自身のことを理解してもらうことは重要です。 

具体的には会社の上司や同僚に症状を伝えることが大切で、同じミスをしてしまうといった行動がわざとではなくADHDという疾患からくるものだということを知ってもらうようにします。 

これだけでも周囲の対応の仕方は変化しますし、できることと苦手なことがはっきりするので工夫しながら仕事を行うことができるようになってきます。 

ADHDの症状は本人の努力不足によるものではなく、努力で全て改善するものではありません。 

~環境調整の行い方~ 

ADHDの方が大人になったときの環境調整には以下のような調整の仕方があります。 

スケジュール帳を用意し、随時メモをとるようにする 

言われたことをすぐに忘れてしまう傾向があるので、いつまでに何をすれば良いのか随時スケジュール帳に記載するようにします。 

指示を出されたらすぐにメモをすることが大切で、スケジュール帳をこまめに確認することも必要です。 

指示を出してもらうときは簡潔に指示を出してもらう 

分かりにくく複雑な指示だったり逆に曖昧な指示だったりするとADHDの方は混乱してしまいます。 

指示は短く簡単に行うとそれだけで理解しやすくなります。 

指示を出すときは一つずつ出してもらう 

複数の指示を同時に出されることもADHDの方にとっては頭の中で処理することができず、複数の提示を同時に進行することが難しい傾向があります。 

また、どの指示を優先して行えばよいのか理解することが難しい場合もあります。 

こういったことを防ぐために、指示は一つずつ出してもらうとスムーズに作業を行うことが可能になります。 

机の上を片付けたり、ポスター撤去したりなど掲示を工夫する 

会社内に置いてある物品がそこら中に溢れていたりポスターなどの掲示物が乱雑になっていたりするとADHDの方は集中することができず落ち着いて作業を行うことが難しくなります。 

自分の机の上を片付けて情報量を減らし、ポスターの掲示をできるだけ少なくし、机の配置も角にするなどの情報や刺激の流入を軽減することが大切です。 

ソーシャルスキルトレーニングも子どもの頃と同じように対人関係を良好にするために練習を行う治療法です。 

大人であっても子どもの時と同様にコミュニケーションを図る練習をすることで症状の改善につながっていきます。 

薬物療法子どもに使用する薬が基本的には使用されます。 

ADHDの代表的な治療薬にコンサータやストラテラがありますが、こういった薬は子どもの場合と同様に症状が日常生活を著しく阻害する場合にできるだけ症状を和らげるために使用します。 

まとめ 

大人のADHDは、子どものときにADHDの特性を持っていながらもその症状が目立って出現しなかったために、そのまま大人になってしまい社会に出て働き始めることで日常生活が困難になってしまうといった問題があります。 

その特徴はADHDの中でも物事に集中して取り組むことが難しいといった症状が見られる不注意型である場合がほとんどであり、仕事でミスを繰り返してしまったりスケジュール管理ができなかったりといった問題がみられます。 

ただ、大人になってADHDであるということが分かっても社会に全く適合できないというわけではありません。 

適切に心理社会的治療と薬物療法を併用することで、ADHDという疾患としっかり向き合うことが症状の改善につながっていくので、自分にあった治療法を選択し自身の特性を理解していくことが大切です。

 

(参考文献 )

イラストで分かる発達障害の作業療法 

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