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注意欠如・多動症(ADHD)とは?その症状と原因について理解しよう!

注意欠如・多動症(ADHD)とは?その症状と原因について理解しよう!

近年、見た目でははっきりと障がいがあると分かりにくいけれども、情緒面社会性コミュニケーション対人関係などの精神的な部分で障がいがみられる子どもたちの問題が取り上げられるようになってきています。
これらの障がいはいわゆる「発達障害」という障がいであり、その原因と症状を理解することが本人の生きづらさを少なくしていくために重要な要素となっています。
その発達障害の中でもよく見られる代表的な疾患に「注意欠如・多動症(以下ADHD)」という疾患があります。
今回は、そんなADHDの症状と原因について最近の知見を交えながら紹介していきたいと思います。

ADHDとはどのような疾患なのか?

ADHDの正式な名称は、「Attenuation Deficit Hyperactivity Disorder」という名称から頭文字をとってADHDとなっています。
ADHDは最近の研究では就学前の子供の時期から症状が目立つことが多く、その段階で診断をされるケースがほとんどですが、中には大人になるまで診断されず社会にうまく適応することが難しいといったケースもあります。
その症状の特徴は名称から考えられる通り以下の3タイプに分けられます。
  • 注意が逸れやすく、不注意が目立つタイプ(不注意型)
  • じっとしていることができず、衝動的に動いてしまうタイプ(多動・衝動性型)
  • 不注意と多動・衝動性型が混在しているタイプ
このように分けられますが、必ずしも症状が固定されているわけではなく様々な症状が複雑に絡み合っている場合がほとんどです。
例えば、自閉症スペクトラムにADHDが合併している場合もありますし、ADHDに自閉症スペクトラムが合併している場合もあります。
その中核(主に出現する症状)となる症状があり、それに付随して様々な症状が見られるということがADHDを始めとした発達障害の特徴です。

ADHDの原因とは?

ADHDの原因については実のところはっきりとした原因は解明されていません。
しかし、生まれたときから脳に何かしらの器質的な異常が見られることははっきりとしているようです。
その脳の中でも前頭前野という思考判断注意などといった情動性精神面を司る部分の障がいであることも分かってきています。
ただ、なぜ前頭前野に障がいが起こってしまうのかはよく分かっていません。
遺伝性であったり、胎児期に有害な物質の影響をうけてしまったり、出生時に何かしらのアクシデントがあったりなど様々な脳へのダメージが原因と考えられていますが、その原因についてはさらなる研究が必要とされています。

ADHDの診断基準とは?

ADHDの診断基準は主に精神疾患の診断基準が用いられます。
精神疾患とは自閉症スペクトラムなどのような神経発達障害群という枠組みで分類されます。
主に使用される診断基準にはDSM-5(アメリカ精神医学会APAによる診断基準)とICD-10(世界保健機構による精神疾患の診断基準)があります。

DSM-5でのADHD診断基準

以下のAからEの項目をすべて満たすことでADHDと診断されます。
A:不注意か多動性・衝動性、または両方の症状が見られる
B:不注意、多動性・衝動性の症状は12歳以前から存在
C:症状は特定の場面だけでなく、家庭と学校など2つ以上の状況で見られる
D:症状が社会的、学業的、職業的な機能を明らかに支障している
E:症状は他の精神疾患によるものではない
これら全ての項目の症状を満たすことでADHDと診断されます。

ICD-10でのADHD診断基準

「注意の障害と多動が基本的特徴である。療法の症状が診断に必要であり、1つもしくはそれ以上の場所や状況で両方の症状を明らかにしなければならない(たとえば家庭、学校、病院など)。
注意の障害は課題が終わっていないのに中止したり、活動が終わらないうちにその場から離れてしまったりするといった症状がみられる。こういった子どもたちはしばしば1つの活動から全く別の活動へ移行していく。これは行わなければならない課題ではなく他のことに注意が逸れ、1つの課題に注意を集中できないためと思われる。持続性と注意の欠陥は、その子どもの年齢とIQから考えて過度な場合にのみ診断されるべきである。
多動は特におとなしくしていなくてはならない状況や場所などにおいて、過度に落ち着きがないことを意味する。状況によっては走り回り飛び跳ねる、あるいは座っていなければならないときに席から立ち上がる、あるいは過度に大きな声で騒ぐ、あるいは何も具合が悪いわけでもないのにじっとせずそわそわしていることなどが含まれる。
判定の基準は、状況から考えられる程度より活動が過度でかつ、同じ年齢と同じ程度のIQである他の子どもたちと比較して活動が過度になっている場合に限られる。この行動特徴が最も顕著となるのは、自分で行動を抑制しなければならない場面で特に顕著に現れる。」:ICD-10診断ガイドラインより
ICD-10においては多動障害と表記されており、成人のADHDの基準が曖昧であるため主に診断に利用されることが多いのはDSM-5の方が多いようです。

どのような症状が見られるのか

ADHDの症状には主に以下の3つの症状がみられます。
  • 注意が逸れやすいなどの不注意が特に目立つタイプ
  • 落ち着きがなく、衝動的に動いてしまう多動・衝動性が目立つタイプ
  • 不注意と多動・衝動性がどちらも同じぐらい目立つタイプ
前述したように一つの症状だけみられることはあまりなく、ほとんどのADHDの方が様々な特性を持っており、その中で特に症状が目立つ特性があるといった特徴を持っています。
以前はADHDといえばとにかく落ち着きがなく動き回っている印象が強かったと思いますが、ADHDといえども激しく動き回り性格も元気な印象な子どもばっかりではありません。
中にはADHD特有の症状がありながらも大人しい子どももいて、日常生活活動の特定の場面だけにおいて不注意が目立ったり、衝動的に動いてしまったりなどの症状が見られる場合もあります。
子供の頃は、不注意型、多動・衝動型のいずれも多くの子どもたちの大きな症状として見られます。

~不注意型の特徴~

・身の回りを片付けることが苦手
・集団活動において与えられた課題に集中できない
・忘れ物が多かったり、ものをよくなくしてしまったりする
・大人の話を聞いているようで聞いていない
・最後まで活動を行うことができない
など

~多動型の特徴~

・活動や授業中にじっと座っていることが苦手
・ショッピングセンターなどで走り回ったり、ウロウロしてしまったりする
・静かにテレビを見たり、本を読んだりすることができない
・眼の前のものに集中しすぎてしまい、危険を冒してしまうことがある
・静かにしなければならない場面でも大きなことでおしゃべりをしてしまう
・常に動き回っている
など

~衝動型の特徴~

・我慢しなければならない場面で我慢することができない
・相手の意図を読み取ることが難しいので、自分の話ばかりしてしまう
・自分のものでもないのに使ってしまう
・やりたいことをすぐにやってしまう
など

まとめ

ADHDは、見た目の姿からはほとんど障がいがあると分からないため、周囲の理解を得ることが難しい疾患です。
その症状は、以前のようにとにかく動き回ってじっとしていないという症状ばかりではなく、注意を物事に向けることが難しかったり我慢しなければならない場面で我慢することができなったりなどの様々な症状が見られることが特徴です。
ADHDの原因についてははっきりとした原因は分かっておらず、まだ研究が進められている段階ですが、前頭前野という脳の精神面を司る部分の障がいで発症することが分かってきました。
ADHDの特徴と原因についてしっかり理解することで、その病態を把握できるようにしていきましょう。
(参考文献)
ICD-10 精神および行動の障害 臨床記述と診断ガイドライン
イラストで分かる発達障害の作業療法

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